Free!第九話における泳ぐ姿と映画ハイ☆スピード!における泳ぐ姿

ニコニコ動画Free!」公式チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/iwatobi-sc)の視聴。長らく中断していたのを昨夜から再開。昨夜も今宵も第九話を繰り返し観ている。
第九話の冒頭には、第八話の最後にあったメドレーリレーの結末が置かれる。橘真琴、葉月渚、竜ヶ崎怜に続いて七瀬遙が泳ぎ始めた瞬間は第八話で描かれたが、そのあとの見事な「フリー」が第九話の冒頭に来る。凄まじい速度で泳ぐ姿が存分に描かれていて、視聴者は大いに魅了される。これを映画「ハイ☆スピード!」と比較して観るなら、あの映画の最後を飾った素晴らしいメドレーリレーにおける七瀬遙の力強く美しい泳ぎの描写は第九話におけるこの泳ぎの描写を踏まえていたろうことを解し得る。
劇中の時間の流れに即して考えた場合(しかも「Free!」と「ハイ☆スピード!」を関連付け得ると前提した場合に限り)、第九話のこの泳ぎは映画におけるあの泳ぎの再来だったと見ることができるが、制作の順番から考えるなら、第九話におけるこの泳ぎを踏まえて映画におけるあの泳ぎを描くことによって映画におけるあの泳ぎから第九話におけるこの泳ぎを想起できるように、換言すれば、映画におけるあの泳ぎが第九話におけるこの泳ぎの再来であるかのように演出したということだろう。
しかし同時に大きな違いもある。第九話におけるこの泳ぎの描写では速度そのものの表現が優先され、ゆえに七瀬遙の動作を側面から捉える画が多いのに対し、映画におけるあの泳ぎの描写では、先ずはプールへ飛び込んでゆく姿が青空を舞うかのように捉えられ、次いで七瀬遙に接近して身体そのものの動作が間近に、丁寧に描かれたあと、水面を滑走するように進んでくる彼の姿を前面から迎えていた視点は瞬時に切り替わって直後に後面から見送る格好になり、その急激な視覚の変化によって速度が象徴される。ゴールへ向けて泳いでゆく七瀬遙の後姿は、まるで大海を遥かな彼方へ、どこまでも突き進んでゆくかのように雄大に描かれている。絵がそのまま意味とドラマに満ちていて、圧倒される。