コロコロコミックス怪盗ジョーカー第二十四巻におけるジョーカーの夢

小学館てんとう虫コロコロコミックス、たかはしひでやす『怪盗ジョーカー』第二十四巻に収録された六話のどれも面白かった中で、最も印象深いのは「めぐり会う夢の中へ」。
ハチが夢見るのは「ミラクル忍者怪盗」ハチの大冒険。そこに出てくるジョーカーは、ラジコン人形の愛らしいジョーカー(「ミニ・ジョーカー」)。ホッシーを抱えて飛んでいる。クイーンが夢見るのは「おかしの家」。シャドウ・ジョーカーとスペードはともにジョーカーに勝つ夢を見る。異色であるのはフェニックス=赤井翼の夢で、それは多分、夢ではなく遠い過去の記憶。なるほどテレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」第四十五話「火の鳥と命の壷」で言及された卑弥呼の話は、フェニックスのこの記憶に繋がるに相違ない。しかし何といっても、この話を印象深くしているのはジョーカーの夢。失われてしまった幸福の日々を夢に見るジョーカー。夢から暫くは醒めさせないようにしたドリーム怪盗メイの心も温かい。
もちろん他の話も面白い。「死人の望みが叶う時」に出てくる悪役の怪盗デビリーナは、『怪盗ジョーカーミラクルファンBOOK』所載の特別篇「小さな楽園の記憶」でも登場した。「ホッシーの華麗なる冒険」ではホッシーが大活躍するが、アニメ版のホッシージョーカーを慕っているようにも見えるのに対し、原作のこの話のホッシージョーカーに無関心で冷たいのが、あまりにも意外で面白い。