芸術現象と箇条書

遠出の仕事。往復の移動時間と、仕事の時間が殆ど同じ。疲れたので早めに寝て、起きたのは翌朝五時頃。直ぐ寝直して、再び起きたのは六時四十五分頃。
移動時間中に、ゲオルク・ジンメルの『芸術の哲学』を読み終えた。このような書を久し振りに読んで改めて思わされたのは、芸術現象、ことに視覚芸術現象の真価は言語によっては容易に表明できない点にあるということだろう。ゆえにジンメルのように、複雑な論理の積み重ねを要する。世間には作品を箇条書で語りたがり、箇条書にできる要素の乏しい作品を中身のない作品であると云い張りたがる人があるが、真相は大概、正反対ではなかろうか。真に価値あるものは、箇条書では表現できない。なぜなら、言語で明瞭に表現できるなら、視覚芸術である意義がないから。