怪盗ジョーカー第二十五巻

小学館てんとう虫コロコロコミックス、たかはしひでやす著『怪盗ジョーカー』第二十五巻。
五つの話が収録されているが、内四つ目の話「集え!導きの神獣たち」(99-125頁)と五つ目の話「翼は銀河の風にのって」(126-189頁)は連続して一つの話を構成している。しかも後者は「第1章 不死鳥を狩る者」(127-138頁)と「第2章 火のクニの思い出」(139-162頁)と「最終章 翼は銀河の風にのって」(163-189頁)の三章から構成される長編であり、以上二つの話は合計九十一頁にも及んで、第二十五巻全体の実に半分を占める。
この特別な長編が描くのは、フェニックスとホッシーの物語の結末。テレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」第四期の最終話もフェニックスとホッシーの物語の結末を描いたが、原作のこの長編は全く別の結末を創造した。そこではフェニックスとホッシーの間の過去、フェニックスと卑弥呼の間の過去ばかりか、フェニックスとスナイパー幻魔との間の奇妙な因縁までも明らかにした。テレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」は原作の良さを存分に引き出しているが、原作の側もまた、テレヴィアニメの良さを活かしながら、もっと良い話を創り出している。原作とテレヴィアニメ版の関係が実に良い。
もちろん「怪盗ジョーカー」の面白さは壮大な冒険を描く長編のみにあるのではない。日常の中に事件を描く短編は登場人物それぞれの楽しさを際立たせる。
懐かしい顔触れも大勢登場する中で、特に嬉しいのはキャプテン・ブルーとレインボー・ジャスティスが二人組を結成していること(7頁、26頁)。シャドウ・ジョーカーとローズの二人は益々面白くなっている。特に裏表紙の、カヴァーの下の漫画に登場するシャドウ・ジョーカーとローズが楽しい。