劇場版Free!-Timeless Medley-絆ライヴヴューイング

京都の新京極通にある松竹の映画館、MOVIX京都へ来たのは、「劇場版 Free! -Timeless Medley-絆」のライヴヴューイング付の上映を観るため。
公開初日以降twitterをはじめインターネット上に探し求めた情報を信じる限り、映画「ハイ☆スピード!」をテレヴィアニメ「Free!ES」に接続するに際しては「Free!ES」をいくらか修正して美化しながらもむしろ「ハイ☆スピード!」を修復不能になるまでに破壊して傷付けているらしいと感じられたので、観る意欲は完全に減退し、殆ど失われてさえいた。それでも、ライヴヴューイングについては気になっていたし、映画そのものも嫌悪する前に先ずは実見しておくべきだろうとも思われていた。何よりも、「再構築」を希望していた出演者たち自身が「再構築」の結果をどのように考えているのかを窺いたいとも感じていた。
それで連休を利用して観に来た。
大混雑の館内に驚き、圧倒されながらも先ずはグッズ売場へ行き、パンフレットを購入。「ハイ☆スピード!」を一冊と、「Free!TM」三冊。時間の余裕があったので再びグッズ売場へ行き、「ハイ☆スピード!」のアクリルキーホルダー六種(全種)を各一個、「ハイ☆スピード!」クリアファイル二種(全種)を各二個、そして「ハイ☆スピード!」ミニタオル二種(全種)各一個。合わせて九千円。
そろそろ会場へ行っておいてもよいかもしれないと思い、飲物を買おうと思えば、売場には凄まじい行列ができていて、一向に順番が来ないので少々焦ったが、幸い、隣の行列が一気に短くなったので、そこへ並び、無事アイスのカフェラテを買い、一度は館外へ出て、道を隔てた別館へ入り、四階の十番シアターへ。
夜七時十分から上映が始まった。「特別興行」であるから、他の映画の予告は一切なし。夕方六時十分からの「特別興行」では、本編のあとに舞台挨拶とそのライヴヴューイングがあったようだが、夜七時十分からの上映では、初めに舞台挨拶とそのライヴヴューイングがあってそのあとに本編が上映された。登壇者は、七瀬遙と橘真琴と葉月渚と竜ヶ崎怜の声優四人衆。
四名の舞台挨拶は楽しめた。四人とも作品への愛を熱烈に語った。確かに愛は伝わって来た。問題は、作品への愛と、実際に上映された作品(ただし総集編)とが結び付いている気がしなかった点にある。結局、もともと支離滅裂だった話の群は、総集してもやはり支離滅裂にしかならなかったらしい。実のところ、もう少し良くなっているかもしれないと予想していたのではあるが、その予想は甘かった。壊してよいところを丸ごと残し、守るべきところを破壊していたと見えた。なぜ思い切った再構築ができなかったのだろうか。
一つ明確に云えるのは、「Free!再構築」というのが「Free!ES」温存のため「ハイ☆スピード!」に傷をつけることに他ならなかったということ。「Free!ES」における不都合な部分は修正され、「ハイ☆スピード!」における美しい表現を取り込んで「Free!ES」は描き替えられて美化されながらも、「Free!ES」における支離滅裂な話の流れ、物語の躰を成していないと云うも過言ではない話の流れはそのまま保全された。対するに「ハイ☆スピード!」は、全編を満たした印象深く美しい表現の数々を「Free!ES」に剽窃されながらも、清らかな物語の意味を無効化、無意味化され、「Free!ES」を生かすため、それへの接続のために傷物にされた。
全く面白くもなかったので二度と見ようとは思わないが、来月下旬には松山のシネマサンシャイン衣山でも上映が始まるので、地域の劇場の利益のためには少なくとも一度は見にゆかなければならない気がしている。かなり悩ましい。