マギ第三十巻から第三十一巻まで

大高忍『マギ』第三十巻から第三十一巻まで。
アリババは煌帝国の帝位を継いでいた練紅玉を訪問。シンドバッドが作り出した新世界秩序の中で最も苦戦を強いられ、破綻の危機にあった煌帝国を助けるため、アリババは練紅玉に対し、煌帝国商会の設立を提案。かつて煌帝国が世界を圧していた軍事組織は今やシンドバッドによって解体させられていたが、アリババはそれを巨大な商会、そして巨大な農業法人として復活させたいと考え、全軍を招集して練紅玉に演説をさせた。さらに、練兄弟の流刑地にも赴き、練紅覇、練紅明、さらには練紅炎とも再会。練紅炎の推挙を得て練紅明を首都に連れて行き、煌帝国商会の顧問に迎えた。
練紅明の指導下に開発されていた魔法道具を活用することで、多量の商品の長距離輸送に関する難問を解決。そこで各地に商会の拠点を設置するため、アリババが交渉役として各地をめぐった。
故郷バルバッドでは、昔日の忠臣バルカークが迎えてくれた。バルカークはアリババがバルバッドに戻って王になることを望んでいたが、アリババはバルカークが指導する共和制バルバッドの現状を喜び、王制の復古を拒絶した。
学院都市マグノシュタットではシンドリア八人将だったヤムライハが大勢の魔導士を率いて学長をつとめていた。ヤムライハもアラジンの行方を気にしていたが、行方を知らなかった。
エリオハプトの国王は、アリババの剣術の師でもあり、八人将でもあったシャルルカン。シャルルカンは今でもシンドバッドを尊敬してはいたが、同時に、シンドバッドの新世界秩序には違和感を抱き、異なった信念を抱いて己の道を行くことを決意してもいた。
レーム帝国にも八人将だったマスルールがいた。今はファナリス兵団で活動していた。マスルールもシンドバッドの新体制に違和感を抱いて、決別していた。シンドバッドの側近に妙な人物が食い込んでいることを嫌っていた。そしてマスルールはアリババを懐かしい人々の許へ案内した。司祭ティトス、ムー・アレキウス、スフィントス。そしてトトとオルバをはじめとする「眷属」集団。「アリババ団」が再結成された。ティトスもアラジンの行方を知らなかったが、同時に、この世界のどこかにいるはずであるとも確信していた。モルジアナは練白龍と一緒にどこかにいるはずであると見られ、ジュダルも行方不明。
ともかくも煌帝国商会の事業は成功するかに見えたが、シンドバッドによって妨害された。しかしアリババはシンドバッドの妨害と同じ手を使って見事に挽回し、逆転させてみせた。
同じ頃、アラジンとモルジアナと練白龍は、暗黒大陸を浮遊する鬼倭王国に身を寄せていた。極東の島国だった鬼倭王国は、一時はシンドバッドの七海連合に加担していたが、やがてシンドバッドの新世界秩序に違和感を抱き、アラジンの力で島をまるごと浮遊させ、移動できるようにしていた。
シンドバッドは、ダビデの力を取り込んで新しい世界を創造し、永遠に支配したいと考えていたが、シンドバッドのマギとなった練玉艶ことアルバは、ダビデにシンドバッドを乗っ取らせ、本来の神そのものを復活させようと企んでいた。何れにしても「聖宮」を攻略することがシンドバッドにもアルバにも必要であり、そのためにはアラジンを探し出さなければならなかった。そこでアルバは先ずはアラジンについて事情を知ると見られる大峡谷のユナンを倒すため、戦闘を仕掛けた。対するにユナンは、シンドバッドを「王の器」として選定した張本人として、アルバの挑戦を受けて立った。