氷菓コミカライズ版第四巻&第五巻

米澤穂信原作/タスクオーナ漫画/西屋太志キャラクター原案『氷菓』コミカライズ版(角川コミックス・エース)。
第四巻。
千反田える折木奉太郎福部里志伊原摩耶花の四名が「女帝」と呼ばれる入須冬実に招かれ、二年F組が制作した未完のヴィデオ映画「ミステリー」を見せられる話から、その未完の映画の行方について、中城順哉による「古丘廃村殺人事件」説を聴かされる話、羽場智博による「不可視の侵入」説を聴かされる話を経て、沢木口美崎による「Bloody Beast」説を聴かされる話まで。沢木口美崎は第一巻における金曜日の学校史の事件の話に名のみ登場していたが、千反田えるがその名を確り記憶していたことには驚かされる。
第五巻。
折木奉太郎が入須冬実から「特別」な存在であると云われ、特別な「技術」の発揮を促される話から、折木奉太郎が新たに「万人の死角」説に到達する話、この説に基づいて完成されたヴィデオ映画「万人の死角」に対して、伊原摩耶花も、福部里志も、千反田えるもそれぞれ不満を抱いて折木奉太郎にそれぞれの疑問点を語り、折木奉太郎が大いに動揺する話を経て、入須冬実によって「基準点」をズラされていたことに気付いた折木奉太郎が、入須冬実に対してその戦略の真相と真意を問い質したのち、千反田えるに対しては「ミステリー」脚本を書いた本郷真由の本来の意図がどうだったのか、推理を語る話まで。こうして激しさに満ちた「愚者のエンドロール」事件は静かに完結。
この最後の、折木奉太郎千反田えるの会話は昔インターネット上に開設されることの多かった「チャットルーム」で行われるが、その際、折木奉太郎は自身の名を「ほうたろう」と打ち込もうとして「ほうたる」と間違え、そのまま「ほうたる」名で通してしまう。インターネット上に流通する折木奉太郎の愛称「ほうたる」の根拠に他ならない。