旅行記二/風景画家マテウシュ・ウルバノヴィチ/三条烏丸の千總ギャラリー屏風展/鯖料理専門店

 旅行記二。
 朝六時四十分頃、ホテルの食堂へ行き、京風の料理による朝食。宿泊室へ戻る前にホテル内コンヴィニエンス店に寄り、昨夜に続いて再び「君の名は。」の「一番くじ」に挑戦してみた結果、漸くF賞「お前は誰だ?」iPhone巾着袋を獲得。同時に副産物としてH賞をコンプリート。
 宿泊室へ戻り、テレヴィを点けていたところ、風景画家マテウシュ・ウルバノヴィチ(愛称「マットさん」)の特集を見ることができた。この人は、新海誠を擁するコミックス・ウェーブ・フィルムの一員で、「君の名は。」の背景美術を手がけた一人でもある。私生活では、東京都内各所に残存する昭和の名残をとどめる古い店を愛し、絵に写してSNSに投稿している由。そうした店は後継者不足等の理由で次々失われているようで、マテウシュ・ウルバノヴィチの絵があることで記憶が後世に伝わ得るとも云える。番組内では、絵を描いた本人が絵に描かれた店を訪ね歩き、店の主に話を聴いていたが、合間には、「君の名は。」背景美術におけるリアリティ追求(現実を少し外れることで現実以上の現実味を出す工夫)も解説されていて、色々興味深かった。
 この番組に感心してtwitterに感想を投稿したところ、マテウシュ・ウルバノヴィチ御本人から「いいね!」を頂戴した。感動した。
 十時半頃にホテルを退出。京都駅のコインロッカーへ荷物を預け、地下鉄で四条駅へ。四条烏丸から三条烏丸へ歩き、三条烏丸御所跡にある千總へ。千總の一階には喫茶店「伊右衛門サロン」があり、その二階には「千總ギャラリー」がある。そこで現在開催されている展覧会「屏風が映し出す縁」を鑑賞した。吉村孝敬の波、岸竹堂の琵琶湖畔に見入った。どの作品も実に名品で、流石、千總コレクションの質の高さを再認識した。図録の役割を担う書籍『千總四百六十年史』を購入したが、これが最後の一冊だったようで、幸運だった。
 三条から四条へ歩き、祇園祭の山鉾を組み立てる神事が行われようとしているのを数箇所で眺めた。既に昼を過ぎ、あまりにも空腹だったので、SABARという店の日替わり定食で昼食。鯖尽くしの料理店で、店内の趣は古風で上品で、「氷菓」の茶店を想起させた。七瀬遙と折木奉太郎にもここに来て欲しいと思った。
 古い洋館があり、京都文化協会の看板が出ていたが、その前庭には草野球少年の銅像があり、台座には「軟式野球発祥の地」の銘があった。
 漸く五条通に着き、地下鉄の五条駅から京都駅へ。コインロッカーから荷物を取り出し、券を買って直ぐに出立。券を買ったのは一時二十分頃で、京都駅を出たのが一時二十七分。岡山駅に着いたのが二時二十七分で、岡山駅を出たのが二時三十五分。慌ただしかったが、おかげで夕方五時二十五分には松山駅へ戻った。