特別版Free!-Take Your Marks-鑑賞二回目

 休日。昼二時三十五分頃に外出。衣山までの移動方法について検索してみるに、市内電車と郊外電車を乗り継いだ場合には衣山駅へ到着するのは三時二十二分であると判明したので、仕方なく急ぎ足で歩いてゆくことに決めた。電車で行けば楽ではあるが、凄まじく遠回りをすることになるのに対し、徒歩で行けば疲れるとはいえ遠回り一切なく一直線に進行できるので実は電車で行くよりも少しだけ早く着くと期待できる。実際、三時十三分にはシネマサンシャイン衣山に到着し、発券を済ませることができた。次いでアイス抹茶オレを買い、来場者特典を受け取って入場。
 昼三時二十分から「特別版 Free! -Take Your Marks-」(Free_TYM)を鑑賞した(二回目)。
 一週間前にも書いたように、全四話から成る内の第一話の演出を手がけたのは「聲の形」の山田尚子監督で、第二話の演出を手がけたのは「ハイ☆スピード!」と「氷菓」の武本康弘監督。この第二話の演出に武本康弘監督を迎えたのは新たな「Free!」全体の監督を務める河浪栄作監督の大英断であると思う。なぜならこの話の中心をなしている鮫柄学園の水泳部のみならず岩鳶高等学校水泳部にしても湊風館高等学校水泳部にしても、バカ男子たち皆が生動していたから。絵も構図も多彩な変化に富んで、少年漫画風の勢いに満ちていた。そして桐嶋夏也の完璧な格好良さは、映画「ハイ☆スピード!」において武本康弘監督が見せた表現の再来だった。
 この第二話が、鮫柄学園好きではない者でさえも楽しめる出来であるのは武本康弘演出の力であると云うほかないが、無論その演出の鮮やかな表現として、武本康弘監督のテレヴィアニメ「小林さんちのメイドラゴン」に通じる柔かな愛らしさを具えた画であることの効果も多大だろう。作画監督を務めたのは丸子達就。「小林さんちのメイドラゴン」でも作画監督を務めていた丸子達就は、『ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-クリエイターズメッセージブック』では桐嶋郁弥を美しく描いていた(59頁)。
 第一話の、橘真琴が慌てながら七瀬遙に駆け寄ろうとする動作は、名作「氷菓」の第十四話「ワイルド・ファイア」における伊原摩耶花の走る姿を想起させた。あれの演出も山田尚子監督だったろう。