マイボス・マイヒーロー第六話

日本テレビ系。土曜ドラママイ★ボス マイ★ヒーロー」。
脚本:大森美香。原案:「頭師父一體」。音楽:高見優。主題歌:TOKIO「宙船(そらふね)」(ユニバーサル・ミュージック)[作詞&作曲:中島みゆき]。企画協力:明石竜二(ミレニアム・ピクチャーズ)。制作協力:トータルメディアコミュニケーション[TMC]。協力プロデューサー:小泉守&下山潤(TMC)。プロデューサー:河野英裕山本由緒日本テレビ)&山内章弘&佐藤毅(東宝)。企画:東宝。演出:佐藤東弥。第六話。
今回、榊真喜男(長瀬智也)は二つの問題に直面していた。任侠「関東鋭牙会」の中に居場所がなくなりつつあるという問題と、青春とは何か?という問題。これら二つの問題はそれ自体は相互に関係しない。それどころか前者は柔弱だと思われていた弟、榊美喜男(黄川田将也)のヤクザとしての実力発揮という予想外の展開にまで繋がったが、榊真喜男はそれをまだ知らない。彼にとっての現時点での第一の関心事は居場所の喪失という事態をどのように受け止めるかにあり、それの解決策として第二の関心事としての「青春」を精一杯満喫することに想到した。そこにおいて彼は、今いるセント・アグネス学園の3年A組こそが自身の唯一最高の居場所であることを知ったのだ。相互に無関係な、それぞれ独立した意味を持つ二つの問題を関連付けることで彼は現時点での最良の解決策を得たのだ。
3年A組が、3年A組の生徒たち皆にとって青春の場であるためには、彼ら皆が仲間であることが必要であるだろう。なぜなら彼らが相互に無関心、無関係な孤独な群集であるなら、そこには何の物語も生じ得ないだろうからだ。この3年A組を単に受験勉強だけのための無味乾燥な空間のままにとどめるのではなく青春の熱い物語の場にすることは担任教諭=「鉄仮面」先生こと南百合子(香椎由宇)の願望に他ならなかったが、実に榊真喜男こそはそれを実現し得る「3年A組のヒーロー」、そして「私のヒーロー」なのだ。
結束の契機は偶々訪れた。榊真喜男の愉快な友達と化した星野陸生(若葉竜也)率いる伊吹和馬(佐藤貴広)&宝田輝久(伊藤公俊)の不良三人衆と、何時も何事にも冷ややかな(反真喜男派の)諏訪部祐樹(広田雅裕)&平塚隆介(武田航平)&瀬川保(田中泰宏)の三人組の間に抗争が勃発。しかるに彼らが他の女子たちとともに他所の学校の不良集団に拘束され暴力を受けたところを、スーパー戦隊ヒーローに扮した榊真喜男が鮮やかに救出。そのヒーローの正体が榊真喜男であることを彼らは知らないが、ともかくも彼らは、同一の危機に見舞われて恐怖感を共有し、同一のヒーローに救出されたことで胸躍る興奮をも共有したのだ。想いを共有した者たちが仲間になれないはずがない。結束の日は決して遠くはないだろう。
冷めた生徒たちを熱い若者たちに変貌させ得る機会を、極めて効果的な形で作り出したのは校長の南孝之(岩城滉一)だった。学園購買部の名物アグネス・プリンの販売再開に際し学級対抗戦の形を取り、勝利者を出した学級に当日分二十四個を全て与えることを提案したのだ。3年A組では榊真喜男の参戦の呼びかけに応じたのは当初は梅村ひかり(新垣結衣)だけだったが、開戦の直前に至り桜小路順(手越祐也)と星野陸生&伊吹和馬が参加した。五人組の連携は見事だった。ことに伊吹和馬は、「星野くん」と仲間たちを助けるため、妨害する敵たちの群に飛び込んで体を張って抑え付けるという献身的な活躍を見せた。鉄砲玉という言葉もあるが、文字通り鉄砲の弾のように敵陣に飛んだのだ。泣かせる。もちろん萩原早紀(村川絵梨)や安原正(森廉)、牧信一(足立理)をはじめ3年A組の皆が応援していた。反真喜男派の諏訪部祐樹&平塚隆介&瀬川保の三人衆でさえ、冷ややかな表情ではあったが、確かに見守っていた。だからこそ、激動の死闘の末に3年A組が勝利を獲得し褒美のアグネス・プリンを獲得したとき、今や結束を見た仲間たちの輪に今なお入れないでいた彼ら反真喜男派三人衆にも褒美のプリンが配られることに誰一人疑問を呈しなかったことだろう。

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