24時間テレビ特別ドラマ「ユウキ」の二面性

日本テレビ系。「24時間テレビ29・愛は地球を救う」。『絆〜今、私たちにできること』。ドラマスペシャル「ユウキ」。
原作:岸川悦子作『ユウキ』(ポプラ社刊)。脚本:水橋文美江&山岡真介。音楽・菅野祐悟。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博。演出:吉野洋
脚本の水橋文美江とプロデューサー櫨山裕子との組み合わせによる作品と云えば二〇〇四年春に放送された篠原涼子主演・山口達也助演の日本テレビ水曜ドラマ「光とともに」がある。佐藤東弥演出、オフィスクレッシェンド制作協力の上質なドラマだった。そして今作の演出家は「24時間テレビ」内ドラマを数多く手がけてきた吉野洋。昨年春の櫨山裕子プロデュースによる日本テレビ水曜ドラマ「anego・アネゴ」の演出家でもあった。
所謂「闘病ドラマ」「難病ドラマ」について語るのは難しいが、以上のような制作陣による今作には流石に抑制の効いた安定感があって見応えがあった。何より前半のオーストラリアの広大な大地を、眩しい太陽の下、青空を背にバイクで走っていたユウキ(亀梨和也)、自転車で走っていたジュンジ(山口達也)の姿は、その後に来る闘病の日々よりはむしろ夢を求める若者たちの青春のドラマを期待させて、実によい絵だった。彼方まで広がる大農園で労働しながら彼らが夢を語る場面には青春の傲慢と無謀と苦悩をよく描いていた。しかし夢からは醒めなければならなかったのだ。帰国後のジュンジやハマ(小栗旬)の、夢破れて元気を失い、現実に帰ってゆく姿には泣かせるものがあった。このドラマは、亀梨和也主演として見れば闘病ドラマだが、山口達也主演として見れば(三十路男子の)青春ドラマだったのだと思う。
[主要な登場人物&出演者]●三田雄基=ユウキ(亀梨和也KAT-TUN])●ヨシエ(優香)●ハマ(小栗旬)●ミユキ(吹石一恵)●森下医師(渡辺いっけい)▲ひろみ(MEGUMI)●米山先生(由紀さおり)▲三田ひとみ(市毛良枝)●三谷(内田朝陽)▲カジタカ(石塚義之)▲ヒトミ(くわばたりえクワバタオハラ])●シン(上地雄輔)▲ギャンブラー(山根和馬)▲ミホ(松田一沙)▲耕(小谷嘉一)●三田高司(河西健司)・タクシー運転手(テリー伊藤)●ジュンジ(山口達也TOKIO])。