仮面ライダーカブト第三十話

テレビ朝日系。“スーパーヒーロータイム”「仮面ライダーカブト」。主演:水嶋ヒロ佐藤祐基。第三十話。
加賀美陸本田博太郎)主宰の美食アカデミーで神代家執事=通称「じいや」(梅野泰靖)を打ち破った生簀一郎(阿部進之介)は料亭破りを再開。狙われたのは京懐石「しらくら」と寿司処「かじ」。天道総司水嶋ヒロ)は崇拝する「じいや」先生の敵を討ち料理の正道を守るため、「じいや」の紹介状を携え、山奥の庵で料理道を伝授している「じいや」の双子の弟(梅野泰靖一人二役])に入門。この老人から「雑巾を料理せよ」との謎に満ちた課題を与えられ、色々試み、悩み、考え抜いた末に天道総司は料理道の真理に到達し得た。「雑巾は料理するもんじゃない。この世の全てのモノにはモノとしての本質がある。それを見極めることが大事なんだと」。「では、モノの本質を知るためにはどうする?」と老人は問い、天道総司は「自然を知り、己を知ることです」と答えて免許皆伝、「光の料理人」として認められ、「白包丁」を伝授された。しかし加賀美陸の美食アカデミーにおける味噌汁対決では天道は伝説の白包丁を敢えて用いず田所修一(山口祥行)から差し出された創業三百年の老舗蕎麦屋「たどころ」伝来の包丁を借り、最も素朴な大根の味噌汁を拵えて、生簀一郎の華美な味噌汁に対抗。見事に勝利した。「おまえは自分の技と味覚に頼る余り、世界を見ようとしなかった。おばあちゃんが云っていた。自分に溺れるものは何れ闇に落ちる」。
世界を知って真に己を知るというのは、例えば「仮面ライダー響鬼」における桐矢京介(中村優一)の「成長劇」をも貫いていた思想に他ならない。こうした哲学的な思想を子供向けの喜劇的なドラマにおいて平易に楽しく表現してみせるのは東映プロデューサー白倉伸一郎の得意技なのだろう。