仮面ライダーカブト第三十八話

テレビ朝日系。“スーパーヒーロータイム”「仮面ライダーカブト」。主演:水嶋ヒロ佐藤祐基。第三十八話。
影山瞬内山眞人)と矢車想徳山秀典)の盟友関係が熱い。このところ二人の間には少しだけ隔たりが生じていた。影山は一人の生意気な少女の生命を救ったことで、かつて正義の味方として働いていたときのことを想起し、物思いに耽ることが多くなっていた。そんな影山を、矢車は、「光を求める」なんて俺たちには似合わないと云って冷笑した。しかし影山に迫るその少女が野球部のエース共々既にワーム化していたことを知るや影山のため矢車は現れ、二人で連繋して戦って二匹のワームを鮮やかに退治した。凄かったのはその直後の二人の言葉。「相棒、やっぱりお前は最高だ」と笑んだ矢車に「アニキこそ」と返した影山。熱いと云うか、エロティクでさえある関係。
天道樹花(奥村夏未)以下、聖華学園中等部のバドミントン部員は合宿に向かうバスの中にあったが、ワームはそのバスを襲撃しようとした。同乗していた加賀美新佐藤祐基)は、怯える中学生たちに歌を歌わせて激励し、自らは一人「幽霊退治」に走った。異様にカッコよかった。そして孤軍奮闘の彼の許に唐突に現れ、一緒に闘い始めた神代剣山本裕典)。「合宿でも頂点に立つ男」と称していたから合宿先で合流するつもりだったのだろうが、「吾が友カ・ガーミン」の勇敢な行動にnoblesse obligeを見出したのだろう。彼もまたカッコよかった。そうした中で唯一今一つだったのは、神代剣のなけなしのゼクターをも強引に奪って自分だけ最強化してみせた天道総司水嶋ヒロ)。最強にカッコよいはずなのに逆にカッコ悪かった。
聖華学園の理事長は、学園の名声を高めて教育者としての己の名声をも高めるためか、生徒たちをワームの犠牲にしていたわけだが、このような卑劣な行為も決して架空ではないから恐ろしい。学校内での生徒間の脅迫や暴行が日常化し、あろうことか教師がそれを煽動していて、やがて被害者の死という最悪の結末を迎えることになろうとも決して責任を認めようともしない教師や校長や教育委員会というのは聖華学園の理事長と何ら変わらないではないか。今朝の「仮面ライダーカブト」には時事的な風刺性があったのだ。