水曜ドラマ14才の母最終話

日本テレビ系。水曜ドラマ「14才の母」。第十一話=最終回。
脚本:井上由美子。主題歌:Mr.Children「しるし」(TOYS FACTORY)。音楽:沢田完高見優。プロデュース:村瀬健&浅井千瑞。演出:佐藤東弥
本作品を問題作と評する人々がいる。果たしてそうだったろうか。最終回を迎えた今、そのことについて考えなければならない。
ところで、問題作として評価するか否かを抜きにしても賛否両論ある本作品については、これを昨年の夏の話題作「女王の教室」と関連付ける人々も一部にいるようだが、何とも見当違いであると云わざるを得ない。両作品の共通点と云えば、世間に違和感を惹起する内容を扱っていること、日本テレビの番組であること、志田未来の出演作であること位しかないだろう。関連して云えば「女王の教室」についてはその問題性の真髄が充分には捉えられていないようにも見受ける。あの作品の凄みは、「学校は監獄である」という二十世紀後半の思想学の重要な成果をさらに進めて(恐らくは柳治男熊本大学教授の学級制論を踏まえて)「教室は監獄である」という命題を見出し、ドラマの基底にそれを設定した上で、監獄としての教室に踏み止まりながらもそれを超越し得る最善の生とは一体どのようなものであるのか?という難問に取り組んだところにあると思われる。さて、「14才の母」にはそうした問題提起があったろうか。
本作品における問題はどこに置かれてあったか。「14才」の少女が十六歳の少年との間の子を出産すること自体にあったのか。それとも「14才」の少女の出産という事件に対する人々の冷たく残酷な反応にあったのか。もし後者であれば人々はどう反応すべきだったのか。無論、あるべき反応の仕方は人々それぞれの立場によってそれぞれ異なることだろうが、何れにせよ「14才」の出産という出来事それ自体についての評価を抜きにしてはそもそも議論のしようがないのではないだろうか。そうだ。本作品においては「14才」の出産それ自体を問題化することなく肯定的に描いた上で、むしろそれに対する周囲の反応をこそ問題化し、描き出そうとしていたように思われる。しかし根本の問題を論ずることなく周辺の問題のみを論じても論議は徹底したものにはなり得ないに相違ない。ゆえに本作品は問題作ではない。
登場人物(出演者):一ノ瀬未希(志田未来)/母=一ノ瀬加奈子(田中美佐子)/父=一ノ瀬忠彦(生瀬勝久)/聖鈴女学院理科教諭・学級担任=遠藤香子(山口紗弥加)/叔父=三井マコト(河本準一次長課長])/交際相手=桐野智志(三浦春馬)同級生=柳沢真由那(谷村美月)同級生=久保田恵北乃きい)/産婦人科医=的場春子(高畑淳子)/聖鈴女学院保健体育教諭=原口和明(井坂俊哉)/三井マコト妻=三井ひな子(金子さやか)/桐野静香秘書=山崎光陽(海東健)/一ノ瀬加奈子パートタイム仕事仲間=松本リカ(大沢逸美)聖鈴女学院教頭=猪原光江(長谷川稀世)/週刊誌「トップ」編集部記者=稲葉真也(宮下雄也RUN&GUN])一ノ瀬加奈子パートタイム仕事仲間=奥村美子(出口結美子)同級生=長崎さやか(小池里奈)弟=一ノ瀬健太(小清水一揮)/聖鈴女学院中学校長=中谷栄三(小野寺昭)/小児科医=土田太郎(反町隆史)/週刊誌「トップ」編集長=波多野卓(北村一輝)/桐野智志母=桐野静香(室井滋)。

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