月九ドラマ東京タワー第三話

フジテレビ系。月九ドラマ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。第三話。
原作:リリー・フランキー『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(扶桑社刊)。脚本:大島里美。音楽:澤野弘之河野伸。主題歌:コブクロ「蕾」(ワーナーミュージック・ジャパン)。プロデューサー:中野利幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:谷村政樹。
思うに、鳴沢一(平岡祐太)は中山雅也(速水もこみち)にとっては真に運命の友とでも云うほかない。思えば大学入学から間もない頃、東京の町の美術大学で右も左も判らず孤独だった中山雅也に声をかけて友人になったのは鳴沢一の方だったし、以後も彼は、なかなか授業に顔を出さなかった中山雅也に声をかけて授業に出てくるよう誘ったり展覧会に出品するよう誘ったりしていた。就職活動でも行動をともにしていたようだった。だから鳴沢一が、路上生活を始めていた中山雅也に中山栄子(倍賞美津子)からの手紙を届けた序でに自分の財布から五万円もの大金を出して「よかったら」と差し出したのも、そうした友情からの必然の行為だったと云える。とはいえ困窮の友に金を差し出せば、友と己との今の差を見せ付けるかのようで、友の心を傷付けかねない。友情を破壊しかねない。鳴沢一もあの瞬間、かなりの勇気を要したに相違ない。逆に云えば、中山雅也があの金を受け取らなかったなら鳴沢一の心も傷付いていたことだろう。己の友情が友を却って傷付けたと知れば後悔せざるを得ないだろうからだ。その意味で中山雅也が五万円を黙って受け取ったのは両名にとって正解だったのだ。
登場人物(出演者):中山雅也(速水もこみち)/佐々木まなみ(香椎由宇)。鳴沢一(平岡祐太)/山田耕平(柄本佑)/レオ・リー(チェン・ボーリン)/徳本寛人(高岡蒼甫)/中西靖子(久保田磨希)/大企業人事部面接担当者=西川貴志(ピエール瀧)。手塚修一郎(石黒賢[特別出演])。建設政務次官=鷲沢一隆(金田龍之介)/藤本ハル(赤木春恵[特別出演])/藤本香苗(浅田美代子[特別出演])/中山兆治(泉谷しげる)/中山栄子(倍賞美津子)。