紅白歌合戦

NHK「第58回NHK紅白歌合戦」。
今年の司会者は中居正広(紅組)&笑福亭鶴瓶(白組)。
美川憲一を白組の一番手にした意図がどこにあるのか知らないが、一つ確実に云えるのは数年前まで散々喧伝されていた小林幸子との「衣裳対決」なるものが実際にはそもそも勝負にもなっていなかったことを、今やNHK当局も完全に公認せざるを得なくなったということだろう。
w-inds.は今年で六年目の出場か。バックダンサーをつとめた集団には少年たち大勢が含まれ、その名は確か「w-inds.キッズ」(?)。「ジャニーズJr.」みたいだが、「w-inds.ジュニア」と名付けなかったところに工夫を感じる。
中村美津子北山たけしの背後ではマッスルミュージカルが見事な半裸で派手なパフォーマンス。あんなことをされては背後ばかり気になって、下手すると誰も歌手の姿を見てはいない。中村の歌は「だんじり」だから屈強の男子たちのパフォーマンスにも必然性があるし、何より中村自身が何だか屈強そうな格好をしていたから調和していたが、北山のバックダンサーとしては一寸変だった。
ウエンツ瑛士小池徹平(WaT)は今年で早くも三年目の出場か。NHKしか見ないような田舎の人々の眼には男子アイドルの代表格と映っていることだろう。もはやNEWSもKAT-TUNも、実際のCDやDVD等の売上がどうあれ、国民的な知名度においては追い付けないに相違ない。大敗北だ。
布施明宝塚歌劇団はショーとして華やか。
中川翔子(「しょこたん」)はAKB48リア・ディゾンとの三組で一回分の出番を分割、共有。しょこたんにも単独で歌わせて、バックダンサーをD-BOYSにさせればよかったのに。惜しい。
米米CLUBには「米米ウォーズ」を歌って欲しかった。
平原綾香「Jupiter」の出番に際し、中越地震の被害から漸く立ち直りつつある新潟県山古志村からの中継あり、現地でリポーターをつとめたのが船越英一郎。同地を舞台にした映画の広報をも兼ねていたとはいえ、雪降る中でのリポートを彼にさせるとは、流石、NHKは贅沢だ。
笑福亭鶴瓶は司会者でありながら時間の配分を考慮せず歌手との世間話に夢中になりがち。生放送だということを忘れているのではないのか。鶴瓶の分まで時間配分を考えて進行役に徹している中居正広の仕事人振りには感心するというか見ていて気の毒にもなってくる。
日本の歌姫、坂本冬美は名歌「夜桜お七」。かたわらで舞う女形早乙女太一。今年のNHK大河ドラマ風林火山」では北条氏康の子、北条新九郎を演じた。十一月二十五日放送の第四十七話では、小田原城内で挙行された戦勝祝賀の盛大な酒宴の場面、北条氏康役の松井誠とともに父子の舞を披露していて、あれは凛々しく美しかったが、今宵のこの女形は妖艶。
後半戦。
小林幸子の豪華衣裳を見上げながら驚き感心していた木村拓哉。かなり楽しそうだった。近年の木村拓哉SMAPの誰よりも「紅白歌合戦」という場を楽しんでいる様子。それもまた見所の一つ。
TOKIO金曜ドラマ「歌姫」の主題歌「青春(SEISYuN)」。歌い終えたあと長瀬智也が変な声で挨拶。それを聴いて中居正広が「TOKIOイイ!」と笑っていた。SMAPTOKIOの交流というのは稀なことのような気がする。ギタリスト野村義男と彼等との交流もあるのだろうか。
氷川きよしのバックダンサーの大集団は北海道の大学生たちなのか。男前も結構いたように見えた。そして最後には彼らも半裸。近年の「紅白歌合戦」では半裸の男子ダンサーをやたら多く出してくれる。本物の半裸はOK、ニセモノ全裸はNGという規則は、不思議ではあるが、解り易い。要するに、たとえニセモノといえども全裸は駄目!というだけのことだ。
東京タワーが来年で建立五十周年を迎えるのを記念しての中継には薬師丸ひろ子がリポーターとして登場。昭和三十年代を舞台にした映画に関連した人選とはいえ、流石、NHKは贅沢だ。
今年また「トリ」の大役を五木ひろしに譲った北島三郎。しかし「帰ろかな」を歌う北島の背後には、大合唱団とともに他の出場者たちも、白組のみならず紅組までも殆ど全員が勢揃い。「大トリ」以上の扱い。
天童よしみには是非「いなかっぺ大将」の主題歌を歌って欲しい。
コブクロは、今年の一月から三月にかけて放送された速水もこみち主演フジテレビ月九ドラマ「東京タワー」の主題歌「蕾」。泣かせる。今宵の番組一番の熱唱だったと評して可だろう。コブクロのあとの中島美嘉の出番のあと、仲間由紀恵が登場。わずかな出番。流石、NHKは贅沢だ。
SMAPの「弾丸ファイター」は「紅白歌合戦」で歌われる彼等の歌としては余りにも華が足りない。今年は物足りない。
最後を飾る四曲は全て阿久悠の作品。阿久悠スペシャル。その一曲目の和田アキ子と二曲目の森進一の合間に木村拓哉が登場し、阿久悠の遺した言葉を朗読した。半田健人に代役をやらせてもよかったのに。
驚いたことに、トリの石川さゆり津軽海峡冬景色」、大トリの五木ひろし「契り」のあと、さらに一曲、最後の作品としてSMAP槙原敬之作「世界で一つだけの花」を、槙原敬之をはじめ全出演者、全合唱団、全審査員、司会者等とともに歌った。これは一寸した「サプライズ」だった。
(未完。引き続き番組を見ながら作文中。)(十一時四十五分完了。)