仮面ライダーキバ第二十二話

東映仮面ライダーキバ」。井上敏樹脚本。長石多可男演出。
第二十二話「序曲-運命の交差点」。
カメレオン=ファンガイア(柳ユーレイ)は、二十二年前の好景気の時代には女性用の高価な洋服店「ラグジュアー」を経営し、今日の不景気の時代には一転、安価な洋服店「カジュアー」を経営しながら、そこで似合いの服を買い上げた女子たちを襲撃していた。
そして二十年前、紅音也(武田航平PureBOYS])の幼馴染みの久美(橋本愛実)は、音也を騙して二十五万円も巻き上げ、ラグジュアーの高価な服を購入しようとしていたが、店長の正体がファンガイアであると知った音也は急ぎ誰かにその服を買い取らせ、次いで自らがその服を着て女装してファンガイアをおびき寄せるためのオトリとなった。狙い通り襲ってきたファンガイアに対し彼は云った。「引っかかったわね!化け物ちゃん!」。あくまでも敵をおびき出すだけのための女装に過ぎないはずなのに、女装した以上は(当人なりに)身も心も女子になり切ってしまうあたりが音也の面白いところ。
他方、二十二年後の現在。前回の話における合コン会場の焼肉店でウェイトレスとして働いていた何時も失敗ばかりの内気な少女、鈴木深央(芳賀優里亜)は、洋服店カジュアーで明るい青色の服を買ったあと、店長のファンガイアに襲撃されたが、注意すべきは、そのファンガイアが襲撃しかけたところで相手の少女に何かを感じたらしく、手を止めたこと。何かあるのだろうか。
前回の話における合コンは、主催者の襟立健吾(熊井幸平)の企図としては、無欲の人のような顔をしていながら意外にも「月謝」を求めてきた名護啓介(加藤慶祐)に対する月謝のつもりだったらしいが、名護啓介があんなことで満足するはずがない。「くだらない。全くの時間の無駄だった。あんなものに出て、俺の魂はホンの少しだけ汚れてしまった。そんな気がする。」という彼の言葉に、嘘はないと思われる。しかし「汚れてしまった」のは「ホンの少しだけ」に過ぎないことをわざわざ述べている点には、彼の相変わらずの自信の程も窺えよう。合コンなんかに参加させられたところで、偉大な(否、むしろ清純な?)魂が汚れるはずもない!とでも思っているのだろう。流石だ。