炎神戦隊ゴーオンジャーGP37

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第三十七話「炎神バンキ!?」。古怒田健志脚本。竹本昇監督。
蛮機族ガイアークの長官、害地大臣ヨゴシュタイン(声:梁田清之)の逝去と、炎神戦隊ゴーオンジャーのリーダー、ゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)の再生を描いたのは先週、第三十六話のこと。
ゴーオンジャー五人衆はそのことを祝福し、彼等の居住空間であるキャンピングカー「ギンジロー号」の脇の野外で、ゴーオンウイングスの二人を招いて一寸した宴会を開いていた。宴会の料理の大半は多分、ゴーオンブルー香坂連(片岡信和)の拵えたものだったに違いない。普段の倹約生活を今日だけは忘れて、かなり奮発したのだろう。しかし彼だけは、ここで油断してはならないと思い、ギンジロー号の中でボンパー(声:中川亜紀子)と一緒に新たな武器の開発に没頭していた。ヨゴシュタインを失った今だからこそガイアークが何を仕掛けてくるか分からない…という危機感を、ゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)も共有していたが、妹のゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)は兄の思いも理解しつつも、仲良しのゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)と一緒に盛り上がっていたし、ゴーオングリーン城範人(碓井将大)とゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)のコンビに至っては主賓の走輔よりも楽しんでいた。案外、彼等よりも古代炎神のキシャモスとティラインとケラインの方が繊細な心の持ち主だったのかもしれない。
古代炎神は、ヨゴシュタインの策謀により操られたとはいえ不本意にも一時は仲間を裏切ってしまったこと、しかも選りにも選って大切な相棒の走輔を一時は死なせてしまったことを悔み、悲しみ、家出をしてしまった。「御先祖様」の家出に気付いたゴーオンジャーは捜索を開始。しかし軍平は街のゴミ箱を漁り、範人はジュースの自動販売機の商品や釣銭の取り出し口や周囲を調べていて、通行人から不審者と見られていた。
同じ頃、蛮機族ガイアークの居城ヘルガイユ宮殿の広間では害水大臣ケガレシア(及川奈央)が亡き筆頭大臣ヨゴシュタインの死を悼み、全軍を集めて盛大な葬儀を執り行っていたが、その間も害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)だけは新たな蛮機獣の開発に没頭していた。今ここで炎神戦隊ゴーオンジャーを殲滅することこそ、黄泉へ旅立つ盟友ヨゴシュタインへの餞とするに相応しいと信じるからだった。
そうして開発されたのがエンジンバンキ(声:稲田徹)。炎神を真似て設計されたが、その原型は、電飾やペンキ画で派手に飾り付けられたトラック、所謂デコトラ。性格も所謂「トラック野郎」に近いのか、口調が時々菅原文太風。語尾には「トラトラ」を付け、命令への相槌は「かしこまりじゃあ!」。好きな言葉は「一番星!」。炎神はゴーオンジャーを「相棒」と呼んでいるが、エンジンバンキはキタネイダスを「相方」と呼んでしまい、ケガレシアからは「相方じゃなくて相棒でおじゃる」と訂正されたものの、「じゃかあしいやあ!トラトラ」という凄まじい反応。そんなケガレシアのことは「御嬢」と呼んでいた。「炎神をモデルに開発された最強の蛮機獣」ではあるが、「クリーンなエネルギーで動いているおまえらの炎神と違って、このエンジンバンキは排気ガスを出し放題。環境に配慮していない分、パワーは桁違いに強力ぞよ」。トラックをモデルにしているので(炎神と同じく)運転席までも作られていて、キタネイダスがそこに乗り込み、助手席にはケガレシアも乗り込んでの出動。その風情はタイムボカンシリーズの三人組のようでもあった。