炎神戦隊ゴーオンジャーGP-42
東映「炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第四十二話「学園ノヒミツ」。武上純希脚本。加藤弘之監督。
蛮機族ガイアーク害水大臣ケガレシア(及川奈央)が私立轟ヶ丘高等学校に保健室の先生として潜入し、魔法界(マジックワールド)から飛来した「魔法の杖」を回収する傍ら、一緒に飛来してきた魔法の書の内容の解析について、同校に通っている天才少年の湯島学(森廉)に研究を委託していた。そのことを察知した炎神戦隊側からはゴーオンウイングスのゴーオンシルバー須塔美羽(杉本有美)が女子高校生に扮して潜入捜査を断行した。
潜入捜査を担当する代表者を決める段、同校に女子一名の欠員が出ていることをボンパー(声:中川亜紀子)から聞くやゴーオンブラック石原軍平(海老澤健次)は直ぐにゴーオングリーン城範人(碓井将大)を指名した。軍平は範人の女装を見たかったのだろう。ゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)も一旦は軍平の案に賛成したが、ゴーオンイエロー楼山早輝(逢沢りな)が自薦で立候補しようとしたときにはその案にも賛成していた。現役の高校生に近ければ何れでもよいと思ったのかもしれない。ところが、早輝の「やっぱ相応しいのは…、一番、現役に近い…」という言葉を横取りするようにして美羽が立候補したときには走輔は納得ゆかないような表情をしていた。美羽が高校生らしからぬ色気の持ち主だからだろうが、走輔はそれを色気とは感じていなくて、単に「老けている」と思っているのかもしれない。
所謂セーラー服を着て高校へ潜入する美羽に、兄のゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)は武器としてヨーヨーを持たせた。「スケバン刑事」の真似をさせる気満々だったろう。
今回の話は「スケバン刑事」パロディで行くのか?と思っていたら、物理学に秀でた天才高校生の湯島学は月九ドラマ「ガリレオ」における物理学者の湯川学(福山雅治)のパロディで、しかも眼鏡男子の彼が魔法の書の研究をして魔法の杖を操ったことで「ハリーポッター」のパロディにもなった。
害水目の蛮機獣ビンバンキ(声:高木渉)が魔法の力で魔法ビンバンキに進化するという見事な駄洒落もあった。ビンバンキの駆使する「熱湯コマーシャル」攻撃が微温湯の放射であるのは文字通り「熱湯コマーシャル」をネタ化したものでもあるが、それが、魔法ビンバンキに進化してからは正真正銘の熱湯の放射となったのは、なるほど、話として実に上手い。
ともあれ、今回の蛮機族ガイアークの戦力と作戦は、ゴミの分別の邪魔をするとか、熱湯で攻撃するとか、高校生に協力してもらって報酬として牛乳を与えるとか、(少なくとも前半までは)害気大臣キタネイダス(声:真殿光昭)が嘆いた通り物凄く「地味」だったのが泣かせる。ゴーオンブルー香坂連(片岡信和)も「やることがセコ過ぎる」と云っていた。でも、それをキタネイダスが自身も「地味」に一人トランプで遊びながら嘆いていたのが面白い。しかも、そのことが次回の来るらしい急展開を際立たせることにもなるようだ。