木曜劇場BOSS第二話

フジテレビ系。木曜劇場「BOSS」。第二話。
脚本:林宏司。音楽:澤野弘之和田貴史林ゆうき。プロデュース:村瀬健&三竿玲子。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:光野道夫。
インターネット上の犯罪サイトを運営する自称「神」に憧れる余り、「神」の逮捕のあとを受けて自らが新たな真の「神」になるべく、実際に連続殺人事件に手を染めてしまった夢も希望もない中年、井上浩輔(野村宏伸)は、警察のオトリ捜査と知りながら敢えて挑発に乗って三人目の標的と定めた大澤絵里子(天海祐希)の自宅のトワレの中で、瞬時に、黒マントを着て顔に血の色で「X」と書き二本の剣を持った死神の姿に変身した。襲い掛かる「神」に応戦するとき大澤絵里子が特撮ヒーローに変身したとしても、あの展開の中では流石に不自然には思われなかったことだろう。見れば顔立ちもウルトラマンに極めて近い。
警視庁捜査第一課特別犯罪対策室における大澤警部の部下の一人、若き巡査の花形一平(溝端淳平)の人物像は、なかなか上手い具合に描かれたと思う。
交番勤務しか経験のなかった彼も、特別犯罪対策室という専門知識を要する課所に配属された今、文字通り「特別犯罪」を捜索しなければならないと思い、犯罪サイトを日々閲覧しつつ、現実の犯罪に関する情報にも常に注意して両者を絶えず照合することを地道に試みていたのだ。彼にとっては柄にもない慣れない作業だったろう。彼の「やる気、元気」をここに認めることができよう。
彼には正義感の強さがあり、熱血があり、組織への忠誠心もある。自身の推測が外れていたと判明したあとの彼の落ち込んだ様子は、己の不甲斐なさを思い知らされた悔しさだけではなく、むしろ上司の大澤をはじめとする周囲の人々に迷惑をかけたことへの悔しさをよく表していた。