旅行中の読書

朝十一時頃にホテルを出て、梅田駅の食堂街にある居酒屋の定食で早めの昼食。JR大阪駅から新大阪駅岡山駅を経由して夕方四時頃に松山駅へ到着。帰宅後は疲れていたので寝てしまった。(七月二十一日記之)
移動中は、新谷尚紀『伊勢神宮出雲大社』を読んでいた。面白かったが、長大な本論と短い補論から成る中で、本論は極めて専門的な詳細な論述を積み重ねたものであるのに対し、補論は大学院での講義(もちろん口頭発表)をまとめたもので、読み易い内容になっているので、民俗学や日本考古学の非専門家(吾もその一人)は本論よりも先に補論を読んでおく方がよいと思った。ともあれ、民俗学に関する書籍というのは大概は面白くないが、この本は高取正男の『神道の成立』に次いで面白かった。しかも世に流通する民俗学の言説が面白くないのは、この著者によれば、それが柳田国男折口信夫の構想を継承し損なったものであり、民俗学の体をなしていないからということになるようだ。なるほど納得できる気がする。
なお、著者は経済人類学者カール・ポランニーの中心性と再分配の構造論を高く評価しているのだが、かつて学生時代にカール・ポランニーの論文「アリストテレスによる経済の発見」を読んで感銘を受けた吾としてはその点も興味深かった。私的には学生時代にカールの弟マイケル・ポランニーの「暗黙知」説もアリストテレスと関連付けて解することができると感じて感銘を受けたものだった。

伊勢神宮と出雲大社 「日本」と「天皇」の誕生 (講談社選書メチエ)
神道の成立 (平凡社ライブラリー)