旅行記三京都国立博物館筆墨精神

旅行記三。
出張期間中だが、今日は仕事のない日。ゆえに朝十一時までホテルで寛いだあと外出し、徒歩で京都国立博物館へ。特別展覧会「上野コレクション寄贈五十周年記念 筆墨精神 中国書画の世界」を観照。見事な書と絵の掛幅や巻子が多く並んだ中で特に迫力があったのは、国宝、伝張即之筆《禅院額字「首座」「書記」》紙本墨書二幅(南宋/十三世紀/東福寺蔵)。牧谿筆《遠浦帰帆図》紙本墨画一幅(南宋/十三世紀/京都国立博物館蔵)は重厚で叙情に富み、与謝蕪村筆《竹渓訪隠図》絹本着色一幅(江戸時代/十八世紀/上野家蔵)は軽妙で爽やか。何れも重要文化財王羲之等の書の拓本の数々も興味深かった。
続けて同時開催の「生誕一二五年記念 篆刻家 園田湖城」を観照。園田湖城と云えば富岡鉄斎の晩期の印章を刻したことで名を知るが、今回は園田湖城旧蔵の富岡鉄斎筆《独楽長物》紙本墨書着色一幅が出品され、馴染みの印章も出ていて興味深かった。橋本関雪筆《凍雲危桟図》絹本墨画淡彩一幅(大正五年/一九一六年/白沙村荘橋本関雪記念館蔵)に捺される印章も園田湖城の刻したものだったのか。知らなかった。
約二時間半にわたり二三百点もの書画や印章を見て流石に疲れたので昼二時の少し前に館をあとにして、昼食のための店を求めて東大路通を徒歩で北上。二時半頃、八坂神社の近くにある米飯店の茶漬で遅めの昼食。さらに北上していたところ、浄土宗総本山知恩院では今、普段は非公開の国宝「知恩院三門」の楼上が特別に公開されているとのことだったので拝観。三時半頃に楼上に上がり、解説を聴きながら仏像や天井画を観照して三十分後に降りて、石段を登り、御影堂に参拝。閉門時間を迎えた知恩院をあとにして神宮道を歩き、三条通を西へ歩き、高山彦九郎皇居望拝之像を眺めてから三条大橋を渡り、豆腐料理店の湯豆腐で早めの夕食。四条通の書店で雑誌三冊を購入して、烏丸通を南下し、京都駅前のホテルへ帰着。明日は朝早くから仕事があるので今宵は早めに寝てしまおう。