大切なことはすべて君が教えてくれた第二話

フジテレビ月九ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」。第二話。
今宵九時からこのドラマが始まって約二十二分が経過した辺に来た場面のこと。明綾学園高等学校の、校舎と校舎との間に架けられた二階の廊下、佐伯ひかり(武井咲)が薬二種とハンカチを落として、それに気付かぬまま歩いていたところ、それ等を拾ってあとを追い、呼び止めてその落とし物を手渡したのは同級生の児玉賢太郎(中島健人[ジャニーズJr.])だった。「別に…僕は見てないから…」と念のため断って、そして去った。
落とし物の薬が何であるのかを「見てない」と敢えて彼が述べたのは、落とし物を差し出されたときの佐伯ひかりの反応が、いかにも、誰にも見られたくないものを見られてしまって焦ったかのような、慌てた様子だったのを見たからだろう。相手の不安を解消し、安心させたかったのだ。だが、案外、彼は実はその薬を見てしまって、何か見てはならないものを見てしまったのかもしれぬと感じていた可能性も皆無とは云えない。
このささやかな場面が今後の物語に何らかの意味を有するのか否か、大いに注意しておこう。何れにせよ、薬とハンカチを手渡すときの児玉賢太郎の、緊張したような、怯えたような、所謂オドオドした様子と、手渡し終えて去るときの、身体を縮めるようにした小走りの動作が愛らしくて面白かった。
両名は柏木修二(三浦春馬)が担任教諭をつとめる二年一組の教室で、同一列の座席に位置している。児玉賢太郎の座席の直ぐ背後に佐伯ひかりの座席がある。ゆえに柏木修二が佐伯ひかりを見詰めるとき、あるいは見詰められていることに気付いて見詰め返すとき、自ずから児玉賢太郎の顔も見える。