美咲ナンバーワン第四話

日本テレビ系。水曜ドラマ「美咲ナンバーワン!!」。第四話。
世にキャバレー倶楽部と称される風俗営業店は、現今、テレヴィ等でも取り上げられることが多い(実際このドラマもそうだ)から、そうした店に行くことのない者にとってさえも何程かは馴染みある存在と化しているのかもしれない。今宵このドラマで描かれた通り、進学に希望を見出せなくなった高校生女子が楽して大金を稼げる職業としてそれに目を着けることがあったとしても不自然ではないかもしれないのだ。
だが、容姿と若さに恵まれていることは最高の推薦状にはなり得るとしても、容姿と若さに恵まれていれば何もしなくとも十分な報酬を得られるというわけではないだろう。この物語の主人公、天王寺美咲(香里奈)も、かつて大いに苦労して、誰よりも努力を重ねた末に、六本木で随一のキャバレー倶楽部の名店SOUTHERN SEAの「ナンバーワン」にまで登り詰めたのだった。
若くて容姿に恵まれていれば、客の横で笑っているだけで、楽して大金を稼げるのではないか…と思い込んでいる若い女子たちに、世の中はそんなに甘くはないこと、「ナンバーワン」を極めることの厳しさをなめてはならないことを伝えることも、実は教育者の重要な仕事の一つであり得る。そして多分、このことを説得力ある仕方で教育し得る点においては、天王寺美咲を超える者はいない。正真正銘、無敵の「ナンバーワン」だったからだ。
御堂学園の高校生であることを隠し、年齢を詐称してSOUTHERN SEAで働き始めた挙句、水商売を甘く見ていた所為で客を怒らせてしまった桜井唯(大政絢)の眼前、伝説の「ナンバーワン」として姿を現してその客に謝罪し、宥め、喜ばせて、仕舞には満足して帰らせることにさえ成功してみせた天王寺美咲の貫録ある接客は、未だ世間を知らない若者に、楽な商売なんか存在しないことを存分に思い知らせたろう。実によい授業だった。
一足先に天王寺美咲の秘密を知ってしまった九条和真(藤ヶ谷太輔)、湊亮介(北山宏光)、長瀬恭太郎(市川知宏)、星田勇斗(大野拓朗)の四人が、その秘密を守るために教室内で必死になっていたのは、既に「ごくせん」でも馴染みの光景ではあるが、なかなか律儀に見えて面白かった。
もっと面白かったのは、放課後、天王寺美咲をデートに誘いたいと思いつつも果たしてどのように誘えばよいものかで迷って、色々な誘い方を練習していた三国武志(田中圭)の一人芝居の上手さ。冷静になって考えてみれば、彼は決して高給取とは云えないに相違ない学校教師でありながら、社長を詐称し、高級なキャバレー倶楽部に出入りしていたような大胆な男ではある。それなのに大胆とも不良とも嫌味とも全く見えないのが凄い。