仮面ライダーオーズ第二十三話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第二十三話「キレイと卵と眠る欲望」。
仮面ライダーバースに変身する伊達明(岩永洋昭)は一体どのような人物であるのか。彼の過去を物語り得る要素がいくつか出てきた。
ドクター真木清人神尾佑)によれば、彼の身体には何か気になる問題があるらしく、ゆえに仮面ライダーバースへの変身を繰り返すことで重大な影響が生じている恐れがあるようだ。変身による身体への影響について調べる必要があるから、医師の診断を受けよ!という真木清人からの意見に対し、伊達明は、自身の身体については自身で把握できていること、それが「本職」であることを述べた。
そして伊達明は、今回のヤミーの発生源である佐倉優美(英玲奈)とは過去に親しくしていたようだ。当時の様子を物語る写真を見るに、両名は外国人数名と一緒にオデンの鍋を囲んで談笑していたから、それは海外で働いていたときのことだったろうか。佐倉優美は今まで科学研究一筋に生きていた人だったに相違ないと考えるなら、伊達明もそれに関連する活動をしていたろうと想像されよう。
佐倉優美はヤミーの力を借りて「モテる」女と化し、あらゆる人々を魅了し始めた。火野映司(渡部秀)までもが佐倉優美に魅了され、一目惚れをして無気力な状態と化したが、その魅力は伊達明には利かなかった。
ここで注目に値するのは、そもそも彼が、地味な科学者から派手な貴婦人へ変わり果てた佐倉優美の姿を見ても、直ぐにそれが佐倉優美その人であることに気付いたという点だ。彼は自身について、人を見る目には自信があることを述べていたが、その一端がここにも表れているのだろうか。だが、そうなると彼が火野映司の過去について想い出せないでいることには小さからぬ意味があるかもしれないと思われてくる。伊達明に云わせれば、火野映司の、全ての物事から距離を置いているかのような、自分自身からさえも引いているかのような生き方は極めて異常であり、ゆえに一度出会えば二度と忘れない程の印象を与える。それにもかかわらず彼は、海外で遭遇したことがあるような気がする火野映司について、どこでどのように遭遇したのか、当時のことをどういうわけか想い出せない。このことは火野映司が当時と今とでは別人のようであることを物語るだろうか。
後藤慎太郎(君嶋麻耶)は、多国籍料理店クスクシエのフランス菓子特集の一環として、十八世紀ロココ時代フランス貴人風の扮装をしていたが、これもまた似合っていた。扮装というよりも、本来そのような人であると見えた。最近は彼を目当てに来店する若い女性客も多いらしい。火野映司は老女にモテて後藤慎太郎は若い女子にモテる。店長の白石知世子(甲斐まり恵)の見るところ、最近の後藤慎太郎は肩の力が抜けて接客も柔らかく優しくなり、よい感じになってきたとか。多分これは一つには伊達明から受けた厳しい特訓の甲斐あって自身に自信を持つことができるようになったからだろう。