渡る世間は鬼ばかり第十部第十八話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第十八話。
小島邦子(東てる美)と山下久子(沢田雅美)、山下健治(岸田敏志)の邪悪三人組が拵えたインターネット餃子店「幸楽」が、その莫大な費用に見合った利益を生み出し得る道理がなく、商売として成り立つ法がないと見られることについては昨年十二月初旬にここに論じたことがある。
その後、彼等は常に忙しそうで、まるで予想外に繁盛しているかのようにも見えていたが、やはり実態は予想通り、大量の商品を売り上げてはいても実質的な利益は殆ど上がっていなかったのではないだろうか。なぜなら山下久子は十万円さえも現金の持ち合わせがないらしいし、これまでにも小島邦子との二人で小島家から幾度も現金を借りて、しかも未だ一円も返そうとはしていないらしいからだ。本当に繁盛しているならそうはならないはずだ。
山下久子は実兄の小島家ラーメン店「幸楽」主人、小島勇(角野卓造)に現金十万円を貸して欲しいと強請し、断られるや、それを兄嫁の小島五月(泉ピン子)の差し金によるものかと勝手に思い込んで口汚く文句を云い放ち、根負けした小島五月から七万円を渡されるや、値切られて悔しいと文句を云いながらそれを持ち去った。あろうことか、小島夫妻を「鬼」とまで形容したのだ。何れが真の「鬼」であるかは云うまでもない。こういうのを盗人猛々しいと云うのだろう。
他方、小島眞(えなりかずき)は一人の豪快な賢女と出会い、衝撃を受けていた。その名を長谷部まひる(西原亜希)と云う。公認会計士として修業中の彼が働いている監査法人における実力者、長谷部力矢(丹羽貞仁)の妹に他ならない。兄が公認会計士であるのに対し、妹は税理士として大いに繁盛しているとか。大井貴子(清水由紀)に捨てられて傷心の小島眞は漸く新たな恋を始めるのかもしれない。
大井貴子は無事ストーカー小島眞から解放されるようだが、ここで気になるのは森山壮太(長谷川純[ジャニーズJr.])との関係の現状と行方であることは云うまでもない。大井貴子は、小島眞から解放された暁には、心置きなく森山壮太と交際することを得ると考えるのだろうか、それとも予て宣言していた通り、今後とも父の介護に専念すべく誰とも交際しない考えであるのだろうか。対する森山壮太は、大井貴子を今後も変わりなく職場の仲間として見るのか、それとも岡倉大吉(宇津井健)や青山タキ(野村昭子)の許しを得て交際の深化を図る余地もあるのだろうか。大井貴子は捨てる側から捨てられる側へ転じるのか、それとも捨てられて幸福を得るのだろうか。