大切なことはすべて君が教えてくれた第九話

フジテレビ月九ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」。第九話。
今宵九時からこのドラマが始まって約十四分が経過した辺に来た場面のこと。明綾学園高等学校の二年一組の教室内。
席に着いていた佐伯ひかり(武井咲)が熱心に見つめていた一枚の写真を、手を滑らせて床に落としてしまい、そこへ通りがかった鉄道オタク少年の児玉賢太郎(中島健人[ジャニーズJr.])は、それを拾い上げて返そうとしたとき、佐伯ひかりとその姉と二人で撮ったその写真に寝台列車北斗星」の姿が写っているのに気付いて、大いに感銘を受けたが、まさか佐伯ひかりが鉄道に関心を持っているはずがないと思い直したのか、直ぐに沈黙して平静を装い、その写真を返して、いつものように躓きながら、佐伯ひかりの席の隣にある自身の席に着き、手に携えていた小さな時刻表を読み始めた。
ところが、佐伯ひかりは優しい口調で「これって今もあるの?」と訊ねた。関心を持っていたのだ。意外な質問を受けて驚きながらも俄然、児玉賢太郎は元気になって語り出した。「あ、あるよ。カシオペアと並んで今も凄い人気で。北斗星ブルートレインの最終形だから!」。いつもは無口な彼のこの突然の饒舌に佐伯ひかりは驚いたのか、暫し沈黙のまま見詰めていて、その反応を見て児玉賢太郎も自身の興奮を恥じたのか、「あ…どうでもいいよね」と呟いて再び時刻表を読み始めた。
ところが、さらに奇跡が起きた。佐伯ひかりは重ねて「教えてくれる?ここに行きたいんだけど」と訊ねたのだ。意外な質問の連続に驚いた彼も、ようやく明るい笑顔になって、抱えていた小さな時刻表を机の上に置き、机の中から一回り大きな時刻表を取り出して「北斗星」の時刻等について楽しそうに検索を始めた。佐伯ひかりは安心したような笑顔で見詰めていた。
そして次週、最終回の予告編において児玉賢太郎は携帯電話の画面を見詰めて嬉しそうな顔になっていた。誰かからのメイルが届いて、それが嬉しい内容だったのだろうか。柏木修二(三浦春馬)と上村夏実(戸田恵梨香)はそれぞれ一体どのような選択をしたのか。平岡直輝(菅田将暉)はどうして哀しい顔をしていたのか。全ては次週の最終話が教えてくれるだろう。