大切なことはすべて君が教えてくれた第十話=最終回/児玉賢太郎の幸と不幸

フジテレビ月九ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」。
第十話=最終回。
大切なことを、寝台列車北斗星」に乗ってきた泥酔の客(尾藤イサオ)が全て台詞だけで表現し切って教えてくれた最終話。
そんな、これまでの九話は一体何だったのか?と思わせてしまう今宵の最終話における見所は、今宵九時からこのドラマが始まって約三十二分が経過した辺に来た場面。明綾学園高等学校の職員室前の廊下。
進路の希望について新たな担任教諭になった中西佳史(西村雅彦)に報告し終えて職員室から出てきた園田望未(剛力彩芽)は、廊下に鉄道オタク少年の児玉賢太郎(中島健人[ジャニーズJr.])がいることに気付いた。
彼は自身の携帯電話に届いたメイルに添付されていた画像を園田望未に見せたくて待ち伏せをしていたらしい。JR北海道の特急「スーパー北斗」一号が寝台特急北斗星」を抜き去る瞬間を捉えた写真だった。北海道へ着いた佐伯ひかり(武井咲)から届けられたものだった。
児玉賢太郎がこの画像付メイルを喜んだのは、面白い画像を入手できたからではなく、佐伯ひかりからのメイルを入手できたからでもなく、佐伯ひかりが無事、行きたかった場所へ到着したことを確認できたからだった。
佐伯ひかりへの片想いの親友、園田望未は、児玉賢太郎のこの言葉を聴いて、彼の愛情が本物であることを確信したのだろう。佐伯ひかりからのメイルに対して心を込めて返信のメイルを出すべきことを厳しく命じた。この指示の内容と、園田望未の少し気持ち悪い口調に、少々気が動転した児玉賢太郎は、また何時ものように足元が不安定になって、前方不注意で、歩行中の他の人に激突して躓いたあと、その勢いで別の歩行者にも激突してさらに躓いて、眼鏡が外れて落ちてしまったところで、不覚にも自らそれを踏みつけて潰して壊して、悲鳴を上げていた。
その後の、九時四十三分辺に来た場面、明綾学園高等学校二年一組の教室の様子を見るに、児玉賢太郎は相変わらず眼鏡をかけてはいたが、新しいものに替えたようだった。