新番組=高校生レストラン第一話

今宵からの新番組。
日本テレビ系。土曜ドラマ高校生レストラン」第一話。
東京の銀座の一流の料亭で板前をしていた村木新吾(松岡昌宏)は、三重県相河町役場で働いている友人の岸野宏(伊藤英明)に請われて県立相河高校調理クラブ「高校生レストラン」の教員に就任する直前に、既にその料理店を辞していたようだった。なぜ辞めたのか、その事情は今のところ明らかではない。これが今後、何らかの形で明らかにされて、ドラマに波紋を生じるのだろうか。そのことにも注意して見てゆこう。
このドラマに描かれる「高校生レストラン」は、実在する高校生レストラン三重県立相可高等学校食物調理科の教育実習施設「まごの店」をモデルにしているとのこと。現実に多くの人々に愛されて大繁盛しているこの店が成立するまでには色々な葛藤や矛盾があったろうことは、今宵の第一話だけでも見事に論じられていた。農林水産業や商業、観光業の振興による「まちおこし」や「まちづくり」の問題と、教育の問題とが齟齬なく上手く調和して連携してゆくまでには並大抵ではない苦難があったろう。教育機関の立場を守ろうとする吉崎文香(板谷由夏)の意見は確かに正しいが、料理は料理として成り立っていなければならぬと考える村木新吾の意見も間違いなく正しい。そして連携のために働くことになっている彼等にも苦心があるが、連携を推進している岸野宏にも、また違った苦心や葛藤があることも、町役場の会議の場面で描かれた。なかなか見応えあるドラマになりそうな気がする。
物語の鍵を握るのはもちろん、生徒の一人、高校三年生の坂本陽介(神木隆之介)。故郷の相河町にある祖母(鷲尾真知子)の料理店を守りたくて東京からここへ移住して料理道の修業に励んでいる心優しい彼は、料理に対して真剣、真摯であり、技術に秀でているだけではなく考え方においても確りしていて、他の生徒たちからも人望がある。そんな彼が、新たに着任した村木新吾の厳しい態度と確かな技と納得ゆく教えに接して、「本物の匂い」を嗅ぎ取って一目惚れをした。
だが、そんな彼にも「左利き」という問題があった。かつて同じように左利きで苦労した村木新吾は、彼に対しても、それを克服するように命じた。かなりの技術を習得している坂本陽介も、このために暫くは、技術上の少々の停滞を余儀なくされるのかもしれない。辛いだろうが、この試練とその克服が今後どのように活きるのかにも注意しよう。
岸野宏の配下として、相河町農林商工課から高校生レストランへ派遣され、村木新吾の補佐役としてレストラン運営の事務全般を処理している都甲仁美という人物。いかにも事務処理能力の高そうな知性もありながら、素朴な味わいのある人物とも見えるのが面白く、演じている女優は誰?と思ったら、何と!あの「風林火山」の柴本幸だったのか。姫君の役よりも多分こういう役の方が合っているのだろう。