新番組/警部補矢部謙三2第一話

今宵からの新番組。
金曜ナイトドラマ警部補 矢部謙三2」。第一話。
実に素晴らしい第一話だった。
平成二十二年(2010)の四月から五月までの間に全六話で放映された「警部補 矢部謙三」第一弾では、警視庁公安部庶務係の男女二名(貫地谷しほり鈴木浩介)が事件の解決の鍵を握り、彼等の淡々として長閑な捜査と、彼等の上司である矢部謙三生瀬勝久)の活力とを対比させつつ併存させていたことから、時には主人公の存在感をやや損なってさえもいたように記憶するが、第二弾では、矢部謙三の天敵としての警視総監(大和田伸也)とともに、矢部謙三の強力な味方として警視総監の愛娘の御手洗未来(畠山彩奈)を新たに登場させ、この少女の明晰な頭脳を利用して鮮やかに謎を解かせながらも、捜査と物語の主導権を握るのは矢部謙三で、その分、話が常に活力に満ちていて飽きさせなかった。
警視庁に配属された上級職の刑事として玉置浩市(相島一之)が登場したが、この参事官の出現は、同じく東大法卒の参事官である菊池愛介(姜暢雄)が実は警察庁内で既に能力を期待されていなかったらしい事実を露呈した。
所轄の刑事であるアジト(賀集利樹)が次回以降の話にも登場するのかどうかは、番組の公式サイトを見ても明らかではないが、期待したい。この「所轄くん」の出現は、秋葉原人(池田鉄洋)や菊池愛介では足りていなかった(というよりは方向性が違っていた)刑事らしさ、若さ、格好よさを漸く補った。もっとも、そう考えると、石原達也(前原一輝)は一人で数人分の働きをしていたに等しいのかもしれないのか。
賀集利樹は「仮面ライダーアギト」の翔一を演じていた頃の印象を脱して久しいが、今回のドラマにおける役名「アジト」は改めてアギト=翔一からの変化を想起させて、その点も味わい深く面白い。