警部補矢部謙三2第五話

金曜ナイトドラマ警部補 矢部謙三2」。第五話。
読み解かれるべき要素が多く、極めて濃密な話だったが、圧巻と云うべきは、事件の解決に「水戸黄門」の方式が採られたところだろう。クーリット王国の王位継承権第一位の王子ゾーケン殿下(生瀬勝久)に扮した矢部謙三生瀬勝久)が、天下の副将軍になり切って王子付の親衛隊長バボ・コバヤシ(田中要次)の悪事を暴き、鮮やかに事件を裁いた。
予て「トリック」では山田奈緒子仲間由紀恵)が、「暴れん坊将軍」の愛好家であるにもかかわらず、謎を解く場面ではむしろ「水戸黄門」になり切るのが馴染みの光景と化していたが、今宵の話における「水戸黄門」再現は、発声まで含めて完璧だったのに加えて、冒頭には警視総監(大和田伸也)が先祖であるらしい渥美格之進に倣って印籠を見せる場面があって、終局における事件の解決の場を最大限に盛り上げる効果を発揮した。
この水戸黄門の場に先立って、ゾーケン王子が真相を明かす場面があり、その余りにも酷く理不尽な内容を受けて矢部謙三が一々反発していた(所謂「突込み」を入れていた)が、甚だ稀なことに、矢部謙三の言い分が正論だった。そして秋葉原人(池田鉄洋)には何時になく格好よい見せ場も多かった。
クーリット王国の大使館における祝賀会で警護をつとめた所轄の刑事の責任者は、悠木刑事(須賀貴匡)。龍騎刑事。鏡の前でポーズを取り、鏡の中へ飛び込もうとしていた。これまでに登場した所轄の刑事とは違い、階級が高い(警部か?)。
嬉しかったのは、第一話で活躍した「所轄くん」こと網戸刑事(賀集利樹)が待望の再登場を果たしたこと。駄菓子屋の奥の食卓で旺盛に飲食していた。秋葉原人からも名前を「アギト」と間違えられていたが、直ぐに「アジトです」と云い返していた。