仮面ライダーウィザード第四十七話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第四十七話「ワイズマンの真実」。
ウィザード=操真晴人(白石隼也)が岩山を打ち破って現れた格好よさが際立っていた。先週から今週までの話におけるゲート、山本昌宏(川口真五)は新婚の妻と、やがて生まれてくる子を守りたいと望んでいるから、それこそがこのゲートの「希望」であることを見抜いたメデューサ中山絵梨奈)は、彼を一気に絶望させるべく、彼の妻に爆撃を仕掛けた。この瞬間、丁度この現場へ駆けつけたらしい操真晴人はウィザードの「大地」の魔力で岩山を築いて防空壕を作り、空襲を遮って妻子を助けた。そして攻撃の止んだのち、岩山を打ち破って、妻子を抱いたウィザードは現れたのだ。
もっとも、この格好よさは物語には重要な役割を果たさなかったらしい。なぜなら妻子への爆撃を目の当たりにして絶望しかけていた山本昌宏は、自身の「希望」である妻子の生命が既にウィザードによって救出されたときにも、そのことを全く認識できないまま、一気に絶望しようとしていた中で、妻子を救いたいという強い思いに突き動かされるまま自分自身を奮起させた結果、自力で絶望の淵から這い上がってみせたのだからだ。彼が妻子の無事を認識できたのは、絶望から這い上がり切って正気を取り戻したあとのことだった。「希望」を守ったのはウィザードではなく、彼自身だった。
ゆえに山本昌宏は自ずから魔法使い候補生と化した。操真晴人、稲森真由(中山絵梨奈)、飯島譲(相馬眞大)に続く四人目であり、白い魔法使い=笛木奏(池田成志)から見るなら四人目の「希望」に他ならない。
ワイズマン(声:古川登志夫)の正体が笛木奏であり、ゆえに白い魔法使いとも同一であることが明かされた。
ワイズマンが自ら真相を明らかにした場面は、メデューサ中山絵梨奈)の最期の場面でもあった。操真晴人の「インフィニティ」の指輪を入手して白い魔法使いへ献じた報酬として新たな武力を獲得した稲森真由は、宿敵であるメデューサとの決戦に臨み、何とか打ち勝ったかに見えたが、それで力を使い果たして変身を解除され、無防備な姿と化したとき、メデューサは辛うじて残った力を振り絞ってその無防備な稲森真由を爆撃しようとした。その瞬間、ワイズマンはメデューサを背後から攻撃した。
メデューサを撃って稲森真由を救ったワイズマンの理由は冷酷だった。理由は二つ。第一に、稲森真由は魔法使いであるから必要であるということ。第二に、四人目の魔法使い候補者を発見できた以上、もはやゲートを発見して絶望させる必要はなく、ゆえにゲート発見の能力を有する唯一の存在としてのメデューサを必要としなくなったということ。換言すれば、必要な者を残し、不要の者を処分したということだ。
この余りにも冷酷な「真実」は、メデューサを絶望させたように見えた。魔法使いの可能性を秘めたゲートが絶望の内に生命を失ったとき、ファントムは生まれるが、ファントムが絶望に沈んだとき、もはや何も生まれることなく燃え尽きて消滅するしかないのだろうか。