警部補矢部謙三2第六話

金曜ナイトドラマ警部補 矢部謙三2」。第六話。
義賊を気取る連続殺人犯「闇の警視総監」に対してオトリ捜査を仕掛けるべく、オトリに選ばれた矢部謙三生瀬勝久)を悪徳刑事に仕立て上げるために警視庁参事官の玉置浩市(相島一之)が結成した警視庁サイバー工作特命捜査班選抜チームは、矢部謙三が仕事を抜け出しては温泉で寛いでいる税金泥棒であるとか何とか色々な悪評をインターネット上の「闇の警視総監」掲示板に書き込んでいたが、それらが概ね当たっていたのが凄い。
正確に云うと、玉置浩市が「そんな刑事がいるわけがない」と却下した「温泉で怠けている」件の書き込みこそが矢部謙三の実態を云い当てていて、「リアリティがある」と評して採用した書き込みは、矢部謙三の実態からは少しズレているとも云える。矢部謙三は駄菓子店「鳥九」の支払いを誤魔化し続けてはいるが、飲食店から「見回り料」を取り立てるわけではないと見られる。
警視総監(大和田伸也)も、一般人を装ってその掲示板に書き込んでいたが、内容が明らかに警視総監によるものであることを物語っていた。
今回の「所轄」の刑事は、実は所轄ではなく本庁の捜査一課の優秀な刑事。矢部謙三をオトリにしていることを犯人のみならず本人にも気付かれないようにするため、本庁の刑事を所轄と称して矢部謙三の臨時の部下にした。実は矢部謙三を保護するとともに犯人を確保することがその目的に他ならない。刑事の名は財樹蔵之助(松田賢二)。読みは「ザイキ」だが、「ザンキ」と間違えやすい。「仮面ライダー響鬼」における斬鬼の如し。ザンキ刑事の敬礼の仕方は、斬鬼よりは響鬼を想起させた。
刑事ドラマらしい要素が普段よりも多めで迫力があり、ことに矢部謙三の背後に秋葉原人(池田鉄洋)が迫ったときの大勢の刑事の一斉の行動は、十六年前の「踊る大捜査線」第十一話を想起させた。この格好よい場面を盛り上げるには、網戸刑事(賀集利樹)や悠木刑事(須賀貴匡)や木谷連刑事(天野浩成)や保葉刑事(黄川田将也)ではなく財樹刑事が似つかわしい。それなのに、松田謙二公式ブログには「テレビ朝日役で出演しています。嘘です。財樹蔵之助役で出演しています。よろしくお願い申しやべけんぞす。」と書いてある。
矢部謙三が自然食の料理店でカツ丼を発見し、国会議員の髪型に共感を覚えたときの顔が面白かった。