弱くても勝てます第六話

土曜ドラマ「弱くても勝てます」第六話。
小田原城徳高等学校の文化祭「城徳祭」の季節。しかし苦学生の亀沢俊一(本郷奏多)は文化祭の前に退学することを決意していた。
そのことを知った野球部マネイジャーの樽見柚子(有村架純)は何とかして引き留めるため、文化祭における野球部の出し物として演劇を上演することにして、その演目「女殺油地獄」ならぬ「女殺未遂球地獄」の主演を亀沢俊一に任せた。やがて真相を知った赤岩公康(福士蒼汰)、白尾剛(中島裕翔)、江波戸光輝(山崎賢人)、岡留圭(間宮祥太朗)、さらには野球部の皆が演劇の準備、演劇のリハーサルを通して亀沢俊一を引き留めようとした。
野球部監督の田茂青志(二宮和也)の過去と野球、野球部員それぞれの学園生活と野球とを連動させて野球よりはむしろ人生を描いているこの物語に相応しく、演劇と野球と生活とを連動させていたところが面白く、演劇のリハーサルにおける突然の激動には見応えがあった。劇中で最も面白い人物である亀沢俊一の退場を飾るに相応しい展開だった。
さらに面白かったのは、亀沢俊一の決意と迷いが、十三年前の田茂青志の苦難と決意に重ね合わされた点にある。今の田茂青志を知る亀沢俊一が十三年前の田茂青志の決意を知ったことで、今の自身の迷いから脱却し、救済され、新たな人生を歩み始める自信を持ち得ることにも繋がったのは実に良い展開だった。
細かなところでも面白い点は多かったが、一つ挙げれば、野球部キャプテンである江波戸光輝が今では野球部で最も頼りない人になっているところ。皆から口々に「出遅れるな!」と注意されながらも愛されている様子だが、どう見ても下級生、新人に見えてしまうのが面白い。