中村優一復帰

二〇〇五年のテレヴィドラマ「ごくせん」に黒銀学院三年D組生徒の一人として華々しくデビューし、同年後半からは「仮面ライダー響鬼」で桐谷京介を演じて話題になり、二〇〇七年の「仮面ライダー電王」では桜井侑斗=仮面ライダーゼロノスを演じて人気を博しながらも、二年前の九月末に芸能界を引退していた元俳優、元D-BOYS/D-DATEの中村優一が、先日、八月三十日の土曜、俳優業を再開することを宣言した。
本人の公式ブログ(http://blog.yuichi-nakamura.com/?day=20140830)にその旨が記されているほか、新しい所属芸能事務所の公式サイト(http://g-starpro.jp/actors/nakamura/index.html)には、これが本人にとっても「緊褌一番の決意」であることが社長の名で明かされ、そしてインターネット上でも大いに報道されている。
今回の報道では、彼が二〇〇四年末の第一回D-BOYSオーディションでグランプリを受賞してワタナベエンターテインメント、通称ナベプロに属することになる前の一時期、ジャニーズJr.の一員でもあったことが明らかにされている。そのことは二〇〇五年の「ごくせん」に出演していたときから話題にはなっていたが、もちろん公表されてはいなかった。
中村優一が参加していた時期のジャニーズJr.には、山下智久亀梨和也、増田貴久、藤ヶ谷太輔をはじめ多数のデビュー候補生がいたはずで、同じ位の年齢の強敵がこれだけ揃っていれば生存競争に打ち勝つのも容易ではない。だから彼がナベプロ主催のD-BOYSオーディションに参戦してきたのは、男子アイドル業界の熾烈な競争に参戦しようとしていたナベプロにとっても有難い事態だったはずだ。しかるに、どういうわけかナベプロは他の、どう見ても売れそうにない人物を高く評価して必死になって売り出そうとし続け、中村優一をそのための踏み台にしようとした末に、結局、この逸材を逃すことになってしまった。傾城という語があるが、私情で公論を左右することの愚かしさがこのような事例からもよくわかる。
本人の公式ブログには「ゼロからのスタート」という語が出てくるが、ここには「仮面ライダーゼロノス」への思いも込められているのだろうか。