仮面ライダードライブ第三話

平成「仮面ライダー」第十六作「仮面ライダードライブ」。
第三話「だれが彼女の笑顔を奪ったのか」。
警視庁特状課巡査の泊進ノ介(竹内涼真)の同僚であり相棒である詩島霧子(内田理央)が、どのようにしてベルトさん(声:クリス・ペプラー)と出会い、「仮面ライダー」の存在を知ったのかを明らかにしてゆこうとする話。その話は、やはり半年前の大事件に遡る。泊進ノ介から今なお気力を奪い続けている世界規模の「どんより」現象、「グローバルフリーズ」に他ならない。当日の夜、警察官として交通規制の職務を遂行していた詩島霧子は、人間を虹色の糸の束のような「データ」に変換してしまう恐ろしいロイミュードに遭遇し、まさしく身体を奪われようとしていたとき、颯爽と現れた仮面ライダーによって救出されたのだ。
それは仮面ライダードライブのプロトタイプだった。現在のドライブに具わっているような攻撃力が当時は未だ具わっていなかったらしく、変身していた者は不幸にも直後に落命したらしい。
ベルトさんが明らかにした以上のような事実関係からは、プロトタイプに変身していた者の正体はクリム・スタインベルトクリス・ペプラー)自身ではないのか?とも思われるが、別の可能性を見ることもできる。ロイミュードの番人であり死神であるチェイス上遠野太洸)が魔進チェイサーに変身しようとしていたのを見て、ベルトさんが何か心当たりのありそうな様子だったところから想像するに、チェイスが何か無関係ではなさそうにも思われてくるからだ。
詩島霧子とドライブの過去がこのように語られたのは、そのときのロイミュードが再登場したからだった。これに関連して興味深いのは、ドライブの武器であるシフトカー群は、それぞれ独自の記憶を具えて固有の事件を担当しているらしいこと。今回の話で新たに登場したベガスのシフトカーは、半年前の、詩島霧子を襲撃しようとしたロイミュードを捜索し続けてきたようで、当のロイミュードが再び活発化したのを受けて、泊進ノ介の許へ参着しのだった。
問題のロイミュードが女子ばかりを何人も襲っては、虹色の糸の束のような「データ」に変換して身体を消滅させてしまうのは、そのように解体して取り込んだ相手をカンヴァスの中へ再構成して、見事な肖像画を描きたいからだった。そうして作成された絵の中の像が妙に生々しく生命力に富んでいるとすれば、それは画中の像が像主そのものであるからだった。
事件の容疑者として浮上したのは、アヴァンギャルド芸術家の浅矢一広(ルー大柴)と、その冴えない弟子の富士宮(村上雄太)。今回、詩島霧子を騙して襲撃しようとしたのは弟子の富士宮だった。しかるに、正体であるロイミュードは、半年前のロイミュードに酷似してはいたが、ロイミュード毎に付された番号を確かめる限り、半年前のロイミュードとは別物であると判明した。そして今回のロイミュードが半年前のロイミュードの進化態であると想定される以上、半年前のロイミュードは今では別物のような姿に化しているに相違ない。浅矢一広が正体であるのは視聴者の誰もが推理できるところだろうが、泊進ノ介がどのようにして真相を解明するのかは次週の話に待たなければならない。