仮面ライダードライブ第三十一話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第三十一話「大切な記憶はどうして消されたのか」。
ドライブに変身し得る警視庁特状課巡査の泊進ノ介(竹内涼真)にはロイミュード001=真影壮一(堀内正美)による記憶の改竄が効かなかった。しかも真影壮一はそれを予測できていた。なぜなら泊進ノ介の父の泊英介(たれやなぎ)にも効かなかったから。だから真影壮一は泊英介を殺害した。換言すれば、十二年前の銀行強盗事件で、偶々そこへ居合わせただけの泊英介が少女を庇って殺害されたというのは、やはり事実ではなかった。むしろ世間を騒がせる異常事態の黒幕が真影壮一である事実を、記憶の改竄を免れる泊英介だけが気付き得て、ゆえに真影壮一が泊英介を殺害したというのが真相だった。
泊英介と泊進ノ介の父子がロイミュード001による記憶の改竄を免れるのはどのような理由によるのか。多分、ベルトさん=クリム・スタインベルト(声:クリス・ペプラー)がドライブに変身する資格を有する者として泊進ノ介に目を着けた理由もそこにあるのだろうし、泊進ノ介が実際にもドライブに変身し得る理由もそこにあるのだろう。
ところで。泊進ノ介は真影壮一こそがロイミュード001であり異常事態の黒幕であることを明らかにするための手掛かりとして、十年前の「伝染病騒動」に着目した。泊英介の殉職から二年後のこと、新型致死性ウィルスの伝染が危惧され、致死率九十パーセントであることから恐慌状態と化し、対策として全国一斉規模の集団検診が実施されたが、結局、何事もなかった。そのとき、新型ウィルスの危機を喧伝し、対策として集団検診を呼びかけたのは、当時は国家防衛局政務官だった真影壮一に他ならなかった。そうである以上、全国一斉規模の集団検診が何かを探し求めるための策略だったろうことは見易い。
問題は、この疑惑を気付かせるとともにその真の意味を探らせるための手掛かりであるに相違ない受検者の一覧表を警視庁特状課に宛て電子メールで送信してきたのが「ミスターX」を名乗る者であること。これは誰であるのか。味方であるのか、敵であるのか。後者であれば、泊進ノ介を欺いて混乱させて撹乱する罠であるのかもしれないが、前者であれば、敵陣の中に味方が潜んでいることを物語る。この場合、敵中の味方は警視庁捜査一課長の仁良光秀(飯田基祐)であり得ようか。
他方、ロイミュード001=真影壮一はロイミュード002=ハート(蕨野友也)とロイミュード009=メディック(馬場ふみか)を相手に面白いことを云っていた。高級ロイミュードは、人間に触れて、人間の感情を研究し、人間の感情の中の特別な感情を手に入れて、進化し、強化するらしい。
ロイミュード003=ブレン(松島庄汰)にとって特別な感情は「嫉妬」であり、メディックにとっては「愛欲」、ハートにとっては「喜び」。そしてロイミュード001=フリーズにとってはそれは「屈辱」だった。
フリーズは、己に屈辱を感じさせることで新たな力を与える人物として泊進ノ介を見出した。だから泊進ノ介を執拗に追い詰めようとしているようだ。「ミスターX」の正体がフリーズであることも考えられようか。そしてフリーズは、ハートに対して、早く特別な感情を与える人間を見付けるように勧めたが、ハートは、既に見付けていると呟いた。ハートが見出した特別な相手は、マッハ=詩島剛(稲葉友)であるのか、チェイス上遠野太洸)であるのか、それとも泊進ノ介であるのか。もし泊進ノ介であるなら、ハートはフリーズと競合することになるのだろう。