仮面ライダードライブ第四十話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第四十話「2人の天才科学者はなぜ衝突したのか」。
泊進ノ介(竹内涼真)はベルトを奪われ、詩島剛(稲葉友)は蛮野パッドに裏切られ、ともに動揺して落ち込んでいたところに、ロイミュード002=ハート(蕨野友也)が現れて重要な真相を明かした。
かつて蛮野天十郎森田成一)はクリム・スタインベルトクリス・ペプラー)の協力を得てロイミュードの開発に勤しんでいたが、研究の推進それ自体に関しては道を同じくしていようとも研究の目的に関しては別のことを考えていたのかもしれない。蛮野の真の野望は、世界を己の意のままに操ることにあったらしいが、クリムは知らなかった。かねて両名の間に小さな衝突は度々あったらしいが、蛮野の邪悪な本性と野望をよくは知らなかったらしいクリムは、我慢し続けていた。しかるに、蛮野がこの研究への出資を一人の青年実業家(蕨野友也)に依頼したところ、その青年実業家からは蛮野の邪悪な意図を「理解できない」と云われて即座に断られたことから、蛮野の本性が露わになって、暴走が始まった。蛮野は先ずはその青年実業家の姿をロイミュード002に複写させて虐待し始めた。それを見たクリムは怒り、蛮野に絶交を告げた。己の野望のためにはクリムの研究成果を取り込まなければならないと考えていた蛮野は、クリムから決別を告げられてさらに怒り、さらに暴走し始めた。蛮野がロイミュード連に悪の心を植え付けたのは実にこのときに他ならなかった。だが、ロイミュード002に対する彼の仕打は致命傷だった。限りなく人間に近い心を実現し、人間の姿までも実現していたロイミュード002=ハートは、蛮野からの野蛮な仕打に対して怒り、恨み、蛮野と人間に対する復讐を決意した。
以上がハートの明かした真相だが、その後どうなったのかは既に明らかだろう。
蛮野と人間への復讐を決意したハートは、他のロイミュード連を従えて蛮野を殺害し、蛮野に協力し続けていたクリムをも殺害した。しかるに、このような事態を予め察知していた蛮野は自身の頭脳を蛮野パッドに保存し、クリムは自身の頭脳をベルトに保存していた。蛮野パッドは小さな物体でありながら自由に動き回り、攻撃能力をも備えているが、ベルトはさらに他人に寄生して他人を変身させて操ることもできた。クリムの頭脳を内蔵するベルト=「ベルトさん」の方が一枚上手だったわけで、生前の蛮野がクリムから獲得したいと考えていた研究成果の一つがこれだったろう。
そこで今回、蛮野は配下のロイミュード004を使って泊進ノ介からベルトを奪い、研究して同じものを拵えてそこへ己の頭脳を移設すると同時に、「ベルトさん」のベルトには何か悪い機能を仕込んだ。
結局、泊進ノ介は無事にベルトさんを奪還し、ドライブに変身する能力を回復したが、蛮野によって仕組まれた悪い機能が何をもたらすのかは現時点では分からない。
失意の詩島剛も、泊進ノ介から「仮面ライダー」としての「使命」を問われたのを機に、「追跡!撲滅!」の志を取り戻した。彼がロイミュード撲滅を急いでいたのは、ロイミュードを生んだのが実父の蛮野天十郎であることを姉の詩島霧子(内田理央)に知られたくなかったからだが、実のところ、詩島霧子は生前の母から常々真相を聴かされていて既に知っていた。そして詩島霧子は失意から直ぐに自力で立ち直った弟の強さを喜んだ。
実の家族である詩島霧子と詩島剛。そして実の家族のような結束を見せた詩島剛と泊進ノ介。三人の姿に真の家族を見たチェイス上遠野太洸)は、このような家族、このような人間を守るために「命を捧げよう」と決意した。
泊進ノ介と詩島剛を見て「タフな人間」と認めて感心していたハートと、「家族、人間」を守るために命を捧げようと決意したチェイス。やはり物語の鍵を握るのはチェイスとハートであるように見受ける。