仮面ライダードライブ最終話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
最終話(第四十八話)=特別篇「ゴーストの事件」。
後日談が物語るのは、たとえロイミュードが全滅しようとも、さらにはロイミュード騒動の元凶だったと云うしかない蛮野天十郎がいなくなろうとも、それで悪がなくなるわけではなく、ゆえに泊進ノ介(竹内涼真)の戦いは今後も続いて行くということだった。
これは二重の意味で納得ゆく結末だった。なぜなら(1)ロイミュードの悪意は人間の悪意の複写でしかなく、(2)人間の悪事を取り締まるのが警察の仕事であるから。
ロイミュードの王者だったハート(蕨野友也)は断じて悪ではなく、むしろ英雄そのものであり、そもそも人間に対する敵意をロイミュードに植え付けたのは蛮野天十郎森田成一)という人間だったわけであるし、多数のロイミュードが抱いていた邪悪な感情や意志は全て人間から複写されていた。従ってロイミュードが全滅しようとも人間がある限り悪はなくならない。クリム・スタインベルトクリス・ペプラー)と別れ、仮面ライダーの役割は終わろうとも、警察の役割が終わることはない。警視庁の刑事であると同時に仮面ライダードライブでもあった泊進ノ介は、この一年間、まさしくドライブとしてロイミュードに立ち向かいながら同時にその背後の人間をも追跡し続けてきたが、今後は、専ら刑事として、人間の悪意に向き合うことになるのだろう。
主な登場人物の内、泊進ノ介と詩島霧子(内田理央)を除く生き残った人々については、先週の第四十七話の末尾で、今後どのような人生を歩んでゆくのかの説明が与えられていた。
泊進ノ介は今回の話の中で、警視庁の理事官に就任した本願寺純(片岡鶴太郎)から、警視庁刑事部捜査第一課への異動を命ずる辞令書を交付され、めでたく捜査の最前線への復帰を果たしたことが描かれたが、実は詩島霧子も同じく警視庁刑事部捜査第一課への栄転を果たした模様。泊進ノ介への辞令交付が事件解決の後まで延期されていたことを踏まえるなら、むしろ詩島霧子の方が先に異動していたのではないのか?とも推測されよう。
警視庁刑事部特殊状況下事件捜査課長、通称「特状課長」だった本願寺純が、機械生命体事件という稀代の難事件群の捜査を見事になし遂げた功績によってその後も次々難事件を任されてさらに功績を重ね、ついには警視副総監まで昇り詰めるだろうことは先週の話で既に説明されていたが、今回の話では、特状課の解散に伴い、「理事官」に就任していた。課長が理事官になるというのは降格ではないのか?と思ったが、番組の公式サイトによれば、本願寺純の階級はもともと警視だった由。警視級の課長から警視級の理事官への順当な「横滑り」の異動だったらしい。特状課長の階級に関するこの事実は、特状課という部署が劇中で常に多くの刑事から軽んじられてきたことの一つの説明にもなる。同時に、本願寺純が時々発揮してきた政治力は、地位によるものではなく、あくまでも人格によるものだったことが改めて納得される。
先週に続いて今週も仮面ライダーゴーストが登場。ゴーストの脇にいた目玉の妖怪のようなものは「ユルセン」。声は「妖怪ウォッチ」の未空イナホを想起させる(鹿目まどかとも同じ声であるのか)。