映画-妖怪ウォッチ2エンマ大王と5つの物語だニャン!

映画「妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」。
大いに楽しめたが、もちろん残念な点がなかったわけではない。第一に、エピソード1「妖怪になったケータ」とエピソード5「妖怪ワールドへ行こう」が密接に繋がって一つの物語を構成していたのに比較して、エピソード2「ジバニャンの華麗なる作戦」とエピソード3「コマさん 家に帰る」とエピソード4「USAピョンのメリークリスマス」はエピソード5との関連が薄く、むしろ関連のない話の寄せ集めだったこと。第二に、前作「妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!」の所謂「作画」が驚嘆に値する完成度に達していたのに比較して、今作の作画は明らかに雑で、完成度が低かったこと。第三に、今作でも前作と同じく有名芸能人が声優をつとめたが、エピソード4の武田鉄矢が流石に上手く、エピソード2の堀ちえみも違和感を与えなかったのに比較して、エピソード2の長澤まさみ、エピソード5の博多華丸大吉は残念な結果に終わったこと。
しかし、こうした残念な諸点を一気に吹き飛ばし得る程に良かったのが、今作の真の主人公、少年エンマ大王の格好よさ。大王の城の周囲に参集したキュウビ、オロチをはじめとする全ての妖怪たちに対し、ぬらりひょんの謀反を見事に平定したエンマ大王が自ら大音声で、人間界との交流の再開を告げた姿には、真のカリスマを見ないわけにはゆかなかった。
先代エンマ大王の忠臣であるからこそ当代エンマ大王への逆臣になってしまっていた議長ぬらりひょん。大妖魔ぬらねいらに変化した彼に対するジバニャン、フユニャン、コマさん、USAピョン、ウィスパーの戦いにはそれぞれの見せ場があった。勇者フユニャンはダークニャンに変身。そしてダークニャンはジバニャンをウィスパーと合体させてブチニャンに変身させた。コマさんは弟コマじろうに調達してもらった最新鋭の武器を携えていた。USAピョンは、イナホに挑発されてベイダーモードで変身した。
しかし、何といっても大きな見せ場を与えられたのはもちろんケータ。なにしろ「オレの友達、出てこい!エンマ大王」と呼びかけたのだ。この召喚の言葉を聴いたときの、ウィスパーをはじめ一同の驚愕、狼狽もまた見ものだった。普通では到底あり得ない召喚の言葉だろう。結局、ケータの妖怪ウォッチ単独で召喚するには余りにも強過ぎる妖怪メダルだったので、イナホの妖怪ウォッチの力も借りなければならなかった。二人で力を合わせた召喚も悪くはなかったが、エンマ大王を友達妖怪にし得ていたケータの特異性は、やはり特筆されなければならない。普通のケータは、普通であるからこそ普通ではない。
なお、妖怪になったケータが「フウ2」という名にされたのは、「普通」だからであるよりはむしろ、ケータの直前に妖怪になったのがマイケル・ジャクソン(みたいな人)で、踊りながら「フウ!」という声を発していたところに因んで「フウ」と名付けられた直後だったからであるらしい。なかなか酷い命名だった。
さらに妖怪市役所がフウ2に発した警告によれば、妖怪が己の能力に反する行為を連発した場合、罰として、身体が白くなり、唇が紫色になり、目と目の間が黒くなるらしい。なるほどウィスパーの容姿はその結果だったのか。