ジバニャンと二丁目信号会の生活

ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)では、一月一日付で第九十九話、百話、百一話の三話が公開されていた。今日ようやく気付いて、一気に視聴した。
第九十九話。
北斗の犬第四話とイナウサ不思議探偵社第九回と、ケータの話が一つ。
ケータは今回、「静電気男子」が流行しているらしい…という話に乗じて、静電気で髪を逆立てて格好よくなるべく、友達妖怪の雷オトンを召喚したところ、雷オトンからは甥の妖怪せいでん鬼を紹介された。
山崎パンのアッカンベーカリーの妖怪ウォッチパンの付録のシールには雷蔵があり、ヒライ神によく似た良い姿をしているが、アニメには登場しないのだろうか。
第百話。
記念すべき第百話は、ケータが普通に誕生して普通に成長するまでの話を手短に明かし、ウィスパーが封印されて開封されるまでの話をさらに手短に明かしたのち、「ジバニャン誕生の秘密だニャン!」を明かした。
振り返るに、ジバニャンの生前の、赤毛の猫アカマルの幸福な生活と壮絶な最期は第二十五話「ジバニャンの秘密」で明かされていた。そしてジバニャンの最期の地である交差点で、ケータとウィスパーがジバニャンと出会った日のことは第一話「恐怖の交差点」で、さらにジバニャンがケータの家に住み着くようになった理由は第五話「おはらいしよう!」で語られていた。
今回の話はその間の出来事。アカマルが逝去して地縛霊の猫ジバニャンと化し、あの交差点に棲みながら、トラックに戦いを挑み始めるまでの物語だった。
あの交差点は「二丁目交差点」と呼ばれる。ここで交通事故に遭って地縛霊と化す猫の数は実に多く、ジバニャンがそこへ棲み付くようになるまでには、既に二百八十九匹もの「地縛系の猫」がそこへ棲み付いていた。交差点の近くにある歩道橋で風雨をしのぎながら生活する彼等は、「二丁目信号会」を結成し、外敵から身を守っていた。
この団体の長者がネコ次郎。ネコ次郎の側近がネコ吉&さだお。
新たにそこへ登場したジバニャンも、会に入らない限りは余所者であり、外敵でさえあり得る。外敵ではなく余所者でもなく仲間であるためには、入会の資格があるかどうか、審査を受けなければならなかった。しかるに、審査の過程で明らかにされた事実には、なかなかに考えさせるものがあった。
二丁目信号のある交差点で事故に遭う猫たちの多くは、どうやら野良猫であるらしい。実際、飼い猫が道路を横切るような事態は滅多にないように思われる。換言すれば、過酷な環境で飢えに耐えながら生きていた猫たちが「二丁目信号会」の大部分を構成しているということだろう。生前は野良猫ではなかったと自負しているネコ吉&さだおでさえ、生前の寝床はどこかの家の軒下だったようであり、ゆえに現実には、住処を辛うじて確保できただけの野良猫でしかなかったらしい。
ネコ次郎が皆から尊敬されているのは、生前、飼い猫だったから。飼い猫とは云っても、飼主の「田中の婆ちゃん」からは必ずしも愛されていたようでもなく、寝床は玄関の隅に置かれた段ボール箱で、餌は魚の骨であり、どう考えても、「田中の婆ちゃん」の家に勝手に棲み付いて、辛うじて飼ってもらえただけの野良猫でしかなかったようだが、それでも、ネコ吉&さだお以下「二丁目信号会」の野良猫たちにとっては夢のように恵まれた境遇であり、云わば上流階級の猫であるように見えていた。
かわいそうな彼等の眼には、本当に富裕な家庭で、優しい少女に溺愛され、毎日のように贅沢な餌を与えられ、そして飼主を守るために自己を犠牲にして逝去したジバニャンの生涯は、真の貴族の生であり、真の英雄の最期であると映った。
ジバニャンが特別な猫であり、特別な猫妖怪であることを知るのは面白いが、反面、「二丁目信号会」の猫たちをはじめ地縛霊の猫たちの生前の境遇を想うのは少々辛い。ネコ吉&さだおの無邪気な愛らしさを見れば見る程にその思いが深まる。
晴れて「二丁目信号会」に入会し、歩道橋で仲間たちと一緒に暮らしていたジバニャンは、結局、そこを離れてケータの家に転がり込んだ。その理由は、第五話によれば、巨大な猫妖怪をはじめ新たな猫妖怪が増えたことで居場所をなくし、「追い出された」ということだったが、やはり、ジバニャンと他の猫妖怪では生活水準が違い過ぎたという理由もあったのではないだろうか。多分、ネコ次郎&ネコ吉&さだお等も、そのことをよく察して、快くジバニャンを送り出したことだろう。無論、ジバニャンが時々「特訓」のため二丁目交差点へ姿を見せた際には、皆で歓迎しているに相違ないと想像しておきたい。
雨の日に、地縛霊の猫たち皆が歩道橋の下で肩を寄せ合って雨宿りをしていた姿が、あまりにも悲しげで、健気で、愛らしかった。
第百一話。
北斗の犬第五話とイナウサ不思議探偵社第十回と、ケータの話が一つ。
ケータが遭遇したのは、家庭におけるパーティを米国流に盛り上げなくては満足しない「メリケン妖怪」の家ーイ。クマとカンチの二人を読んでクリスマスを楽しもうとしていたら、家ーイに憑かれた両名は同級の男子全員を引き連れ、さらに(招待されていなかったと思しい)フミカまでも同級の女子全員を引き連れて参加。そこでケータも、家ーイに満足してもらって引き取ってもらうべく、次々色々な妖怪を召喚して無理矢理にパーティを盛り上げた。
いつも陰鬱な顔をしている木村守が皿回しのように箒を回して盛り上がっていたのが面白かった。