仮面ライダーゴースト第二十八話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第二十八話「爆現!深淵の力!」。
天空寺タケル(西銘駿)は眼魔界で気力を失ったアラン(磯村勇斗)を庇って逃走していたところをアランの姉アリア(かでなれおん)に助けられた。しかもアリアは深海マコト(山本涼介)の友である天空寺タケルに弟アランを託した。アランも漸く覚醒した。天空寺タケルと深海マコトとアランが三人揃って変身する場面が実現。さらに深海マコトは眼魔世界長官イーディス(竹中直人)から授けられた恐ろしい眼魂を用いてディープスペクターに変身し、強力な敵を退治した。
同じ頃、人間界では、天空寺タケルも深海マコトもアランも不在にしていた間、眼魔陣営から逃亡していたキュビズム画材眼魔と音符眼魔を匿っていた深海カノン(工藤美桜)、月村アカリ(大沢ひかる)、御成(柳喬之)、シブヤ(溝口琢矢)、ナリタ(勧修寺玲旺)を眼魔界の御用科学者イゴール山本浩司)が襲撃したが、前回の話で御成に助けられたジャベル(聡太郎)がイゴールを撃退し、恩を返した。それで弱っていたイゴールに対しては、月村アカリが平手打ちを喰らわした上に、気に入らないものを直ぐに消去してしまおうとする科学精神の欠如を指摘して追い詰めた。
それにしても、合理主義を追求し、心を無用と決めるイゴールが、どうして音符眼魔に音楽を準備させたがったのか。合理のみに価値を見出して心を否定するなら、芸術なんか必要なくなるのに。イゴールがどんな音楽にも納得しなかったのは、もっと上質なものを求めたからではなく、むしろ音楽そのものの価値を解さないからであることは音符眼魔が述べていた通りだろう。必要性を認めていないものを無理に欲しがったからこそのあの始末だったと云うことができる。イゴールのあの行為には合理性の欠片もなかった。
キュビズムを求める画材眼魔が「スランプ」に陥ったとき却って写実性に富んだ見事な絵を制作し得ていたのは、ラファエッロのように描き得るまでには数年しか要らなかったのに子どものように描き得るまでには数十年を要したと述べたピカソを想起させる。