怪盗ジョーカー第三十五話のレインボー・ジャスティス

テレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」の第一期から第二期までの全二十六話については、ニコニコ動画で随時一ヶ月間一括購入して視聴できているが、現在放送中の第三期については、ニコニコ動画の「怪盗ジョーカー」公式チャンネルに配信が一切なく、youtubeの「怪盗ジョーカー」公式チャンネルに至っては第三期の第一話にあたる第二十七話のみを配信して以後の配信をしていないばかりか、第二期までの全話をなぜか視聴できなくしているように見受ける。
そうした中でyoutubeの「コロコロチャンネル」では第三期の各話を二週間遅れて配信しているので、一応、今まではそれで視聴しながら、ニコニコ動画で配信されるのを待ち続けてきたが、一向にその気配がないので弱っていた。「コロコロチャンネル」にしても、二週間も遅れる上に途中でCMが入って見やすくはなく、物足りない。
ゆえに検討の結果、今日からは仕方なくNTTひかりTVのWEB配信で見ることにした。おかげで昨日放送された最新話の第三十六話「スカイ・ジョーカー危機一髪!」まで全て見ることができた。
第三期も既に第二十七話から第三十六話まで十話を数えたことになるが、中で最も楽しめているのは断然、第三十五話「英雄の条件」。待望の、レインボー・ジャスティスの話。
原作は小学館てんとう虫コロコロコミックス『怪盗ジョーカー』第九巻の「英雄の条件」だが、このアニメ版では第一巻の「摩天楼の追跡者」も組み合わせ、デビル・ファングの幹部スパイダーAとジョーカーとの直接対決を盛り込んでいる。しかも、アニメ独自の展開をも追加してそこにハチの大活躍を描き、さらにはレインボー・ジャスティスが真の英雄になる結末までも導いた。
怪盗ジョーカーの物語はどのような物語であるのか?と考えたとき、一つの説明としては、家族を失った孤独な少年たちの家族愛の物語であるということができる。
ジョーカーもスペードもクイーンも、幼時に両親を亡くしている。彼等を育てたシルバーハートも実は同じ。シャドウ・ジョーカーとローズの兄妹も同じであることは『怪盗ジョーカーミラクルファンBOOK』に特別に掲載された漫画で明確にされた。家族に恵まれていることが判明しているのはハチだけ。ハチには父母も祖父母もいて、兄や姉や妹や弟も九人いて、飼い犬までもいて、皆でジョーカーを家族同然に迎えているが、そんなにも満ち足りた境遇の人は他にはいない。第十八話「ラグナロクの光の下で」に登場したパプリカ姫も両親を亡くしていたし、第三十一話に登場したキャプテン・ブルーも、幼時に偉大な祖父キャプテン・ブラックを亡くして孤独になっていた以上、それよりも早くに両親を亡くしていたことは明らかだろう。
レインボー・ジャスティスもまた、決死の覚悟で人質を救出すべく行動を起こしたとき「僕が死んでも、悲しむ家族は誰もいない!」と叫んだ。当然その言葉はジョーカーの心に深く響いた。
レインボー・ジャスティスは原作でも決死の行動に出るが、アニメ版ではもっと危険な行動に出る。なにしろ人質は、ヒーロー以上にヒーローらしいジョーカーの頼もしさ、格好よさに魅了された男の子。その子はレインボー・ジャスティスを「ダメなヒーロー」と呼んだが、思えばレインボー・ジャスティス自身が幼時にはジョーカーのような頼もしいヒーローに憧れていたのだ。人質の男の子に昔の自分自身を投影したレインボー・ジャスティスは、昔の自分の憧れたヒーローになるべく本気で生命を捧げた。助けられた男の子は、「ダメなヒーロー」だったレインボー・ジャスティスを「僕のヒーロー」と呼んだ。かつてレインボー・ジャスティスがヒーローに憧れてヒーローになろうとしたように、この男の子もまた、将来はレインボー・ジャスティスのようなヒーローになろうとするのかもしれないと予感させる。実によい結末だった。
レインボー・ジャスティスは殆ど常に顔を隠しているが、少年時代の素顔を二度、現在の素顔も二度だけ覗かせた。少年時代は愛らしく、現在は予想以上に凛々しく美しかった。多分、ラッキーピラミッドを上回る「怪盗ジョーカー」史上一番の美男子と云えるのではないだろうか。