怪盗ジョーカー第三十八話における怪盗サバイバルの設定

テレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」第三十八話「決戦!怪盗サバイバル 前編」を再び見る。
怪盗が大勢登場しているのが(声優も大勢で豪華で)楽しいが、あんなにも大勢の怪盗を一挙に登場させることができるのは「怪盗サバイバル」という奇妙なイヴェントの存在が設定されているからこそ。世界中の怪盗が、世界一の怪盗の座を賭けて技を競い合う大会で、今回は第百五十三回。
原作では毎年開催されるということになっているが、アニメ版では五輪と同じく四年に一度の開催ということで、その歴史はとんでもなく永いらしい。シルバーハートは五回連続の優勝を果たして殿堂に入ったわけだが、五回連続というのは、原作では五年間であるのに対し、アニメ版では二十年間になる。シルバーハートが王座に君臨し続けた歳月はどの位であるべきか?と考えるなら、なるほど、五年間よりは二十年間が相応しい。
殿堂に入ったシルバーハートは、原作では、今回から大会の司会者に就任したわけだが、アニメ版では大会の主催者になっていた。意味は同じようなものかもしれないが、アニメ版では、大会の一部始終はテレヴィ(「裏社会ネットニュース」を放送しているチャンネル?)で生中継放送されていて、その番組の司会者をつとめるのが「裏社会ネットニュース」のキャスターで馴染みのDJピーコック。大会の司会者と中継放送の司会者とが混同されるのを避けるためには、大会の司会者は主催者と呼ばれるのが適切だろう。そして主催者のシルバーハートは中継放送の番組ではDJピーコックの脇に坐して解説役をつとめていた。
ジョーカーは今回、初めて出場することになったわけだが、今まで出場していなかったのは、出場資格がなかったからでもなければ出場を遠慮していたからでもなく、大会の存在自体を知らなかったからであるらしい。とはいえ大会の存在を知っていたなら出場していたのか?と考えるなら、そういうわけでもないのが明らか。このようなイヴェントにはそもそも興味がないらしい。周囲もそのことをよく解っていて、それで出場を勧めることさえもなかったに相違ない。しかし今回は、シルバーハートが初めて主催者になったこともあり、敢えてジョーカーを騙してでも出場させることにした模様。ジョーカーを騙すにあたっては、ハチもクイーンもロコも巻き込んで皆で騙す格好にしたのも実に用意周到だった。シルバーハートがジョーカーに送付した招待状は、本体の上に偽者の招待状を貼付してあった。この騙し方はアニメ版の第二話「芸術の都と百年金庫」において芸術探偵ビリジアンを騙したのと同じ方法に他ならない。そこが巧い。皆を信頼していて、ゆえに完全に騙されてしまったジョーカーの後姿があまりにも気の毒だった。
それに引き換え、ジョーカーと勝負できる機会の到来を心から喜んでいたスペード、シャドウ・ジョーカー、ラッキーピラミッド、キャプテン・ブルー、キャンディ、ナイトメア、赤サソリは陽気で楽しそうだった。しかるに、キャプテン・ブルーは流石に弱かった。張り切っていたのに見せ場もなく出番が乏しいのが残念。後編に見せ場は出てくるのだろうか。