氷菓コミカライズ版第十巻

米澤穂信原作/タスクオーナ漫画/西屋太志キャラクター原案『氷菓』コミカライズ版(角川コミックス・エース)。
第十巻。
神山高等学校文化祭(カンヤ祭)の三日目(最終日)、全校生徒の話題と化した怪盗十文字の正体に折木奉太郎が迫る「クドリャフカの順番」完結編から、静けさを取り戻した古典部における「連峰は晴れているか」の話を経て「心あたりのある者は」の話まで。
タスクオーナの後書には「これまでに登場したキャラクター総出演」の「クドリャフカの順番」編において「特にお気に入り」であるのは河内亜也子であると書かれているが、実際、複雑な魅力に富んだ人物であり、ひときわ輝いている。伊原摩耶花の個性と見識と才能を最も高く評価して信頼している人物でもあると見えるが、生憎、伊原摩耶花はそのことに全く気付いていない。
文化祭には大勢の人々が登場して大賑わいだったのに対し、「連峰は晴れているか」では、折木奉太郎千反田える伊原摩耶花福部里志の四名しか登場しないばかりか途中からは折木奉太郎千反田えるの二人だけで行動し、謎の解明を見る。「心あたりのある者は」に至っては最初から最後まで事実上、折木奉太郎千反田えるの二人しか登場しない。古典部の秋が深まりゆくのを表している。