ニコニコ動画dアニメストアで映画ハイ☆スピード!Free! Starting Days鑑賞

 今朝、NHK朝ニュースの「朝ごはんの現場」ナレーターは再び伊東健人ドールハウスの職人は、朝食を作ってはその姿を精密に観察してドールハウス用の精巧な朝食模型を制作する。
 深夜、NHKニュースで魔夜峰央著『翔んで埼玉』特集。作者本人も登場。あまり考えずに描いているので御自身も展開を理解できないらしい。
 ところで。
 深夜、ニコニコ動画dアニメストアで色々検索していて、映画「ハイ☆スピード!Free! Starting Days」も配信されてあると知った。素晴らしい。ここで不図想起するに、吾「ハイ☆スピード!」初鑑賞は二〇一六年一月五日で、当時は「Free!」未視聴だった。以後、上映回数が減少するばかりか上映時刻も入場し辛い時間帯へ辺境化してゆく中、仕事では多忙と難事件にまで見舞われ、色々な意味で苦戦を強いられながらも、同月十日、十一日、十七日(舞台挨拶中継ライヴヴューイング付)、十八日、十九日、二十日、そして最終日二十二日まで通って、可能な限り目に焼き付けようとしていた。あれからもう三年か。
 そうした懐かしさを感じながら、ニコニコ動画dアニメストアで映画「ハイ☆スピード!Free! Starting Days」鑑賞を開始。
 たとえ好意を持たず見始めたとしても(かつて自分自身がそうだったが)、そのような者をも軽く圧倒するのが冒頭の、七瀬遙の泳ぐ姿。「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」の原画を描き続けた巨匠、多田文雄による渾身の原画。
 そして全体が「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」で鍛えられた武本康弘監督による優しく良質な作品だった。このような人々の作品だったからこそ、違和感なく入って行けたのではなかったろうか。
 前半から見所が多い中、細かい魅力を挙げるなら、例えば、鴫野貴澄の「バスケ部批判はんたーい」が良い。鈴木千尋の好演技。あの一言で貴澄を気に入り、原作を読んでさらに魅力された。或いは、怒る桐嶋夏也が黒タンクトップを脱ぎ捨てる背中は、匂い立つような色気と形容する他ない美しさ。完全に魅力された思い出。
 物語の大きな転換点。橘真琴への芹沢尚の「遙がいるからじゃなくて?」は、初めて観たときでさえ、云ってはならない一言ではないのか?と判るような形で全力で表現されていて、衝撃を受けた思い出。そのあとの「違う」の呟きには心締め付けられた。しかも同時に、真琴の異変を直ぐに察知したところから、無愛想な七瀬遙が今まで秘めていた愛を表出し始めたことが繊細に描かれてある。
 夜の岩鳶SCにおける着衣水泳の場は、橘真琴の覚醒の場である以上にむしろ七瀬遙の自覚の場。だから遙の表情こそ緻密に繊細に描き込まれている。深い。二〇一六年八月十四日、舞台挨拶中継ライヴヴューイングを109シネマズ広島で観たとき周囲の皆も(男一人だった自分も)泣いていた思い出。
 終盤の、最高のメドレーリレー。橘真琴、桐嶋郁弥、椎名旭、七瀬遙の強靭な泳ぎ。特に遙の、大海原を一人颯爽と征くかのような雄大な空間表現。ここもまた、西屋太志を感嘆させた現代アニメ界の巨匠、多田文雄による渾身の原画。この場面だけでも本作品は傑作になり得ている。
 観終えたのは深夜二時頃。着衣水泳とメドレーリレーを何度か繰り返したので長くなった。やはり劇場で観てもブルーレイで観てもニコ動で観ても傑作。京アニ&Doは今直ぐ原作者おおじこうじ先生に頭を下げて、もう一つ別の、本来の未来を書いてもらうべきではなかろうか。
 なお、あの最高のメドレーリレーの直前、桐嶋夏也と芹沢尚に「行ってきます」と告げて階段を駆け上がる紫色の髪の美少年は、原作「ハイ☆スピード!2」に出てくる「悪役」、岩鳶高校水泳部二年男子部長、矢崎翔太であると思われる。その根拠については、二〇一六年九月二十七日の記事に書いたことがある。「http://poietes.hatenablog.com/entry/20160927/p1」。