喰いタンKUI-TAN第三話

日本テレビ土曜ドラマ喰いタンKUI-TAN」。寺沢大介原作。伴一彦脚本。小西康陽音楽。主題歌=B'z「結晶」。次屋尚&山本由緒プロデューサー。和田豊彦&井下倫子協力プロデューサー。アベクカンパニー制作協力。渡部智明演出。東山紀之主演。第三話「クイズ番組を食い荒らす!」。
誰がどう見ても最初からマダム・ラン(銀粉蝶)が怪しかったわけだが、それにしても、食いしん坊の探偵「KUI-TAN」こと高野聖也(東山紀之)の見事な直観によって正体を暴かれた瞬間の、マダム・ランの高笑いが凄まじい迫力に満ちていて恐ろしかった。怪物のようだった。さて、物語の真剣な面を野田涼介(森田剛)が担い、その周辺にいて非現実的な面を担いつつ最後に解決の主役を果たすのが高野聖也であるという構造性は先週の第二話で確立し、今週の第三話でも同じ構造を作ったが、先週の主人公の一人だった金田一少年=かねだはじめ少年(須賀健太)が出水京子(市川実日子)と一緒になって野田涼介の真剣な想いを茶化して面白がる側に回ったことで、さらにドラマが明確化していた。かつて学生時代には彼と親しい関係にあった後輩で、今は事件の犯人かと疑われているフードコーディネーター森山瞳(須藤温子)のため、彼が何とか真相を明らかにして真犯人を捕まえたいと考え必死になっている間、喰いタン高野聖也は、汐留でしか販売されないメロンパン「シオドメロンパン」をはじめ、何時も何かを喰い続けていた。昔日の恋心を再燃させて舞い上がりつつ必死にジタバタする野田涼介と、何も考えていないかのように喰い続けながらも実は観察を欠かさない高野聖也。対比される二人が一つになったとき全てが解き明かされた。明快に見易いドラマなのだ。なお、番組中クイズ番組の司会者、川上逸郎(平泉成)は御法川風のやたら威勢のよい芸風のようだった。