渡る世間は鬼ばかり第四十八話

TBS系。「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。作:橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。プロデューサー:石井ふく子。演出:吉川厚志。第八部第四十八回。
ここ暫く和やかだった小島家ラーメン店「幸楽」に突如甦った感のある波乱。口火を切ったのは小島五月(泉ピン子)。小島家の長女、田口愛(吉村涼)の出産に関することをめぐり五月は、小島眞(えなりかずき)の旅行に反対した挙句、過去の恨みを語りだした。姑の小島キミ(赤木春恵)に苛められたことや、そのことで夫の小島勇(角野卓造)には助けてもらえなかったこと。さらには小島久子(沢田雅美)への敵意をも明らかにした。このところの平和な関係は幻想だったのだろうか。しかし久子はその上を行った。このところ「幸楽」小島家の皆に感謝の意を現していた久子は突如、一転して攻撃を始めた。兄の勇からの一千万円もの借金を返すつもりがないこと、米国にいる母キミや長女の加奈(上戸彩)、長男の登(伊藤淳史)を日本に呼び戻したい考えであることを表明したのだ。何だか話が振り出しに戻ったかのようだ。
彼等に比べるなら神林常子(京唄子)は素直な人だ。長女の本間由紀(小林綾子)の突然の裏切りに激怒する余り、長男夫妻の本間英作(植草克秀[少年隊])や長子(藤田朋子)にまで疑念を抱いたものの、「ながこはん」こと長子が高級料理店「おかくら」の豪華弁当を携えて神林清明愛川欽也)の診療所に義母の常子を訪ねるや、発想を転換し、長女のことで心身ともに忙殺されるよりは夫の「神林先生」と二人で幸福に生きる方がよいのだと考えるに至り、却って嫁の「ながこはん」に感謝するようになったのだ。