ヒミツの花園最終話

フジテレビ系。ドラマ「ヒミツの花園」。第十一話=最終回。
脚本:永田優子。音楽:仲西匡。主題歌:安室奈美恵「Baby Don't Cry」(avex trax)。プロデュース:吉條英希(関西テレビ)&遠田孝一(MMJ)&伊藤達哉MMJ)。制作:関西テレビMMJ。演出:小松隆志。
謎の少女漫画家「花園ゆき子」解散。そして全ては終焉したが、新しい始まりをも予感させて、なかなか爽やかな最終回だったと思う。反面、新しく始まるに違いないと思われていた一つの愛が、何時の間にか消滅していたらしい。あんなにも大騒ぎをして一緒になりつつあった川村亮子(真矢みき)と田中一郎(寺島進)が結局は結ばれなかったのだ。
関連して気になるのは、月山夏世(釈由美子)が果たして片岡航(堺雅人)と無事に結ばれたのかどうか?という点だ。月山が「花園ゆり子」最後の原稿を受け取ったあと、あたかも片岡家から暫く遠ざかる覚悟であるかのような挨拶をしたことがその点で気になるのだ。無論あれは「花園ゆり子」への別れの挨拶であって片岡家の四兄弟への挨拶ではないわけだろうが、それにしても片岡航の愛の告白を月山が受け容れたのであれば、月山は数時間後には再び片岡家に帰宅するはずなのだから、あの場で余りに丁寧に別れを告げるのも少々滑稽ではないだろうか。少なくとも片岡修(池田鉄洋)や片岡智(要潤)や片岡陽(本郷奏多)からは大いに笑われることを免れ得ないことだろう。案外、あの告白のあとの次男以下の三兄弟との騒動に流されて、告白そのものがなかったことになりはしなかったか?と疑わざるを得ない。そう考えるとき、この最終回は、爽やかに明快だったかに見えて、意外に謎めいてもいたように思われる。
ところで、四男の片岡陽は、英国に留学して「古典文学」を学びたいとの考えを述べた。しかるに英国で「古典文学」と云えば古代ギリシア・ローマの文学や哲学や歴史のことに他ならない。あの内省的な美少年は古代の美の世界に傾倒していたのか。しかし美少年には古代ギリシアが似合う。美少年ということで云えば、片岡航の少年時代を演じた真山明大も目を惹いた。