仮面ライダー電王第九話

テレビ朝日系。“スーパーヒーロータイム”「仮面ライダー電王」。主演:佐藤健。脚本:小林靖子。監督:長石多可男。第九話「俺の強さにお前が泣いた」。
空手選手だった本条勝(内野謙太)に憑依していた熊イマジン(声:てらそままさき)はモモタロス(声:関俊彦)を二重の意味で圧倒した。腕力も強いが、容姿も、筋量の多い身体は金色に輝き、身に纏う衣は毛皮で飾られて派手やかで強そうだった。本条と野上良太郎佐藤健)との、イマジネイションの差だろうか。
本条のライヴァルだった空手選手、菊池信司(矢崎広)が新聞やテレヴィのスポーツ記者たちに対して無愛想だったのは、昨年の空手大会で本条が突然の体調不良のため決勝戦に出場できなかったことで不戦勝で優勝してしまったゆえの空虚感に起因したに相違ないが、恐らく取材の記者たちの誰一人、そのことを解してはいなかった。菊池は本条と戦えなかったことを悲しんでいると思しいが、記者たちはむしろ、戦わずに優勝した菊池を「強運」と見て内心やや軽んじつつも同時に、容姿端麗なアイドル風の彼の無愛想な態度を一つの「キャラクター」として面白おかしく取り上げたがっていると見受ける。だが、新聞やテレヴィのそうしたスポーツ報道の姿勢がさらに彼を苛立たせて無愛想にさせてもいるはずだ。